巧妙たくみ)” の例文
をくを造るに巧妙たくみなりし達膩伽尊者たにかそんじやの噂はあれど世尊在世の御時にも如是かく快き事ありしを未だきかねば漢土からにもきかず、いで落成の式あらば我を作らむ文を作らむ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
武村兵曹たけむらへいそういまわたくしおなじやうに、この軍艦ぐんかん賓客ひんきやくではあるが、かれ軍艦ふねいへとする水兵すいへい——水兵すいへいうちにも氣象きしやうすぐれ、こと砲術ほうじゆつ航海術かうかいじゆつには際立きはだつて巧妙たくみをとこなので
欷歔すすりなきの声がした。陶器師が泣いているのだ。……月子は静かに手を延ばしたがのみつちとを取り上げると、サク、サク、サクとりかけの仮面めんを、巧妙たくみ手練てなみで刻り出した。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ざっと流して座敷に帰り、手早く旅行鞄を開きて、小瓶の中より絵具を取出し、く顔に彩りて、懐中鏡に映し見れば、我ながらその巧妙たくみなるに感ずるばかり旨々まんまと一皮かぶりたり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おくを造るに巧妙たくみなりし達膩伽尊者たにかそんじゃの噂はあれど世尊せそん在世の御時にもかく快きことありしをいまだきかねば漢土からにもきかず、いで落成の式あらば我を作らん文を作らん
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
洋燈らんぷひかり煌々くわう/\かゞやいて、何時いつにか、武骨ぶこつなる水兵等すいへいらが、やさしいこゝろ飾立かざりたてた挿花さしばなや、壁間かべに『歡迎ウエルカム』と巧妙たくみつくられた橄欖かんらんみどりなどを、うつくしくてらしてる。