嵐雪らんせつ)” の例文
次に嵐雪らんせつにも相応の弟子があって、その弟子も善く作るので、暗に其角と頡頏けっこうしている。その外にはいうべきほどの人はない。
俳句上の京と江戸 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
私たちの一向いっこうに気のない事は——はれて雀のものがたり——そらで嵐雪らんせつの句は知っていても、今朝もさえずった、と心にめるほどではなかった。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はくらん病が買ひ候はん」も手厳てきびしいには違ひない。が、「東武とうぶの会に盆を釈教しやくけうとせず、嵐雪らんせつ是を難ず。翁曰、盆を釈教とせば正月は神祇しんぎなるかとなり。」
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
つねに茶のつむぎの羽織をきられ、嵐雪らんせつよ、其角が所へいてくるぞよとものしづかにいはれしとかたられたり
芭蕉ばしょう其角きかく嵐雪らんせつなどの俳諧師はいかいし、また絵師では狩野家かのうけ常信つねのぶ探信守政たんしんもりまさ友信とものぶ。浮世絵の菱川吉兵衛ひしがわきちべえ鳥井清信とりいきよのぶ浄瑠璃じょうるりにも土佐椽とさのじょう江戸半太夫えどはんだゆうなど高名な人たちもたくさん出ている。
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
今更ここに其角きかく嵐雪らんせつの句を列記して説明するにも及ばぬであろう。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
出代でがわりおさな心に物あはれ 嵐雪らんせつ
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
露霜つゆじもくぼくたまる馬の血 嵐雪らんせつ
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
去来きょらい丈草じょうそうもその人にあらざりき。其角きかく嵐雪らんせつもその人にあらざりき。五色墨ごしきずみの徒もとよりこれを知らず。新虚栗しんみなしぐりの時何者をかつかまんとして得るところあらず。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
つねに茶のつむぎの羽織をきられ、嵐雪らんせつよ、其角が所へいてくるぞよとものしづかにいはれしとかたられたり
江戸の方は其角きかく嵐雪らんせつの句でも白雄しらお一派の句でも仮令たといいくらかの美しい処はあるにしても、多少の渋味を加へて居る処はどうしても寒牡丹にでも比較せねばなるまい。(五月七日)
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
其角きかく嵐雪らんせつもその人にあらざりき。『五色墨ごしきずみ』の固よりこれを知らず。『新虚栗しんみなしぐり』の時何者をかつかまんとして得る所あらず。芭蕉死後百年になんなんとして始めて蕪村は現れたり。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
(略)其角きかくを尋ね嵐雪らんせつを訪ひ素堂そどういざな鬼貫おにつらに伴ふ、日々この四老に会してわづかに市城名利の域を離れ林園に遊び山水にうたげし酒をくみて談笑し句を得ることはもっぱら不用意を貴ぶ
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
真夜中やふりかはりたる天の川 嵐雪らんせつ
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
畑打に替へて取つたる菜飯なめしかな 嵐雪らんせつ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
嵐雪らんせつの句に
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)