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屡
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しばし
ふりがな文庫
“
屡
(
しばし
)” の例文
かくて曲者は間近の横町に
入
(
い
)
りぬ。
辛
(
から
)
うじて
面
(
おもて
)
を
擡
(
あ
)
げ得たりし貫一は、一時に発せる全身の
疼通
(
いたみ
)
に、精神
漸
(
やうや
)
く乱れて、
屡
(
しばし
)
ば前後を覚えざらんとす。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼の女は名匠ヴェラスケスによつて
屡
(
しばし
)
ば描かれたやうな卵形の顔をした、額の余り高くない美人であつた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
然れども暫らく塲景の精不精とを外にして、その塲景と演者との関係を察する時、吾人は
屡
(
しばし
)
ば我が塲景の、余りに演者の動作に対する不自由を与ふるを認むるなり。
劇詩の前途如何
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「
茲
(
ここ
)
ニ住シテ凡ソ幾年、
屡
(
しばし
)
バ春冬ノ
易
(
かわ
)
ルヲ見ル寄語ス
鐘鼎家
(
しょうていか
)
、虚名
定
(
や
)
ンデ益
無
(
なか
)
ラン」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
従って、緑内障の手術には、眼球剔出法が、最も
屡
(
しばし
)
ば応用されるものであります。
痴人の復讐
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
▼ もっと見る
最も
屡
(
しばし
)
ば話の中に出て来るのは吉原という地名と奥山という地名とである。吉原は彼等の常に夢みている天国である。そしてその天国の荘厳が、幾分かお邸の力で保たれているということである。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
霧
沸々
(
ふつ/\
)
として到るに
遇
(
あ
)
ふ、天そゝり立つ大嶽とは
是
(
こ
)
れか、眼前三四尺のところより胴切に遇ひて、
殆
(
ほと
)
んど山の全体なるかを想はしむ、下界
屡
(
しばし
)
ば見るところの
井桁
(
ゐげた
)
ほどなる雲の穴より
或
(
あるい
)
は
皺
(
しわ
)
を延ばし
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
屡倚
中
水畔榭
上
屡
(
しばし
)
ば
水畔
(
すいはん
)
の
榭
(
うてな
)
に
倚
(
よ
)
るべし〕
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は
己
(
おのれ
)
の
今日
(
こんにち
)
あるを致せし辛抱と苦労とは、
未
(
いま
)
だ
如此
(
かくのごと
)
くにして足るものならずとて、
屡
(
しばし
)
ばその例を挙げては貫一を
𠹤
(
そそのか
)
し、飽くまで彼の意を強うせんと
勉
(
つと
)
めき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
壯烈
(
そうれつ
)
なる
剛腸
(
ごうちよう
)
屡
(
しばし
)
ば
破天荒
(
はてんこう
)
の
暴圖
(
ぼうと
)
を
企
(
くわだ
)
て、シベリアの
霜雪
(
そうせつ
)
をして
自然
(
しぜん
)
の
威嚴
(
いげん
)
を
失
(
うしな
)
はしむ。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
実験が思わしく進まぬとき、
屡
(
しばし
)
ば私は徹夜して気むずかしい顔をしながら働きましたが、そのようなとき妻もまた徹夜して、どこまでも私の気を引き立てるようにつとめて呉れました。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
彼れが絹布の貿易にたづさはつてゐる小商人だと云ふ事を私は
屡
(
しばし
)
ば聞いて知つてゐたが、
然
(
しか
)
も、彼れの住居には何一つ商品らしいものなぞは積まれてゐなかつたし、それに、日曜以外の日でも
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
太
(
いた
)
くもこの弁論に感じたる彼の妻は、
屡
(
しばし
)
ば直道の顔を
偸視
(
ぬすみみ
)
て、あはれ彼が
理窟
(
りくつ
)
もこれが為に
挫
(
くじ
)
けて、
気遣
(
きづか
)
ひたりし口論も無くて止みぬべきを想ひて
私
(
ひそか
)
に
懽
(
よろこ
)
べり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
屡
漢検準1級
部首:⼫
12画
“屡”を含む語句
屡々
屡〻
屡叩
屡次
屡瞬
屡ゝ
多摩枳波屡
大変屡々
屡〻見
屡屡