“小麥(こむぎ)” の例文
新字:小麦
其(そ)の時(とき)畑(はた)には刷毛(はけ)の先(さき)でかすつた樣(やう)に麥(むぎ)や小麥(こむぎ)で仄(ほのか)に青味(あをみ)を保(たも)つて居(ゐ)る。それから冬(ふゆ)は又(また)百姓(ひやくしやう)をして寂(さび)しい外(そと)から專(もつぱ)ら内(うち)に力(ちから)を致(いた)させる。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
横(よこ)に轉(ころ)がした臼(うす)を前(まへ)に据(す)ゑて小麥(こむぎ)を攫(つか)んでは穗先(ほさき)を其(そ)の臼(うす)の腹(はら)に叩(たゝ)きつけると種(たね)がぼろ/\と向(むかふ)へ落(お)ちる。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
軟(やはら)かな風(かぜ)が凉(すゞ)しく吹(ふ)いて松(まつ)の花粉(くわふん)が埃(ほこり)のやうに濕(しめ)つた土(つち)を掩(おほ)うて、小麥(こむぎ)の穗(ほ)にもびつしりと黴(かび)のやうな花(はな)が附(つ)いた。百姓(ひやくしやう)は皆(みな)自分(じぶん)の手足(てあし)に不足(ふそく)を感(かん)ずる程(ほど)忙(いそが)しくなる。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)