小児等こどもら)” の例文
旧字:小兒等
小児等こどもらしばらく逡巡しゅんじゅんす。画工の機嫌よげなるを見るより、一人は、画工のせなかいだいて、凧を煽る真似す。一人は駈出かけだして距離を取る。其の一人いちにん
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
老女おばさん、う来て下さいました、今夜は近所の小児等こどもらを招きまして、基督降誕祭クリスマスを営むことに致しまして、——其上、十二月廿五日と云ふ日に特別の関係ある婦人の新客がありますので
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
続いて、はじめの黒きものと同じ姿したる三個、人の形のからす樹蔭こかげよりあらわれ、同じく小児等こどもらあいだまじつて、画工の周囲をめぐる。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
小児等こどもらは絶えず唄ふ。いづれも其のあやしき物の姿を見ざるおもむきなり。あとの三の烏でて輪に加はる頃より、画工全く立上たちあがり、我を忘れたるさまして踊りいだす。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
小児等こどもらの糸を引いてかけるがままに、ふらふらと舞台を飛廻り、やがて、樹根きのねどうとなりて、切なき呼吸いきつく。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「昔……昔、浦島は、小児こどもとらえし亀を見て、あわれと思い買い取りて、……」と、すさむともなく口にしたのは、別荘のあたりの夕間暮れに、村の小児等こどもらの唱うのを聞き覚えが
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
口や目ばかり、ばらばらと、動いて、騒いで、小児等こどもらの声はかすかに響いた。……
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
されど、小児等こどもら不便ふびんなり、活計たつきすべを教うるなりとて、すなわち餡の製法を伝えつ。今はこれまでぞと云うままに、くびを入れてまた差覗くや、たちまち、黒雲をき小さくなりて空高く舞上る。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここに居て遊ぶ小児等こどもら、わが知りたるは絶えてあらず。風俗もまたかわりて見ゆ。わが遊びし頃は、うつくしく天窓あたまそりたるか、さらぬは切禿きりかむろにして皆いたるに、今はことごとく皆毬栗いがぐりに短くはさみたり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小児等こどもら唄いながら画工の身の周囲まわりめぐる。環の脈を打って伸び且つ縮むに連れて、画工、ほとんど、無意識なるがごとく、片手また片足を異様に動かす。唄う声、いよいよえて、次第に暗くなる。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
画工、その事には心付かず、立停たちどまりて嬉戯きぎする小児等こどもらみまわす。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)