寒風かんぷう)” の例文
かたしめて立出たり折柄師走しはすの末なれば寒風かんぷうはだへつらぬく如きを追々の難儀に衣類は殘ず賣拂うりはらひ今は垢染あかじみたる袷に前垂帶まへだれおびをしめたるばかり勿々なか/\夜風はしのぎ難きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
西北にしきた寒風かんぷうに吹付けられながら歩いて行くと、何ともなく遠い行先の急がれるような心持がして、電車自転車のベルのをば駅路の鈴に見立てたくなるのも満更まんざら無理ではあるまい。
これ日本にほんの事で、或旅僧あるたびそうたうげえてますと、寒風かんぷうはげしくフーフーツ吹捲ふくまくりますのでたまねて杉酒屋すぎさかやといつて、のきしたに杉を丸く作つて、出してありまする居酒屋ゐざかや飛込とびこんで、僧
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
みなさんがお正月しようがつやすみをへて、ふたゝ寒風かんぷうなか學校がつこうにおかよひになるときには、おほくのかず、れたようにねむつてゐますが、なかにはまんさくのようにさむかぜにもへてはや
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
つぐる鐘耳元に響き渡り寒風かんぷう肌膚はだへさすが如く一しほ待遠まちどほく思ふに就我家の事を氣遣きづかもし母樣が御目を覺され此身の居らぬを尋ねはし給はぬか然共折角せつかく是迄來りしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)