女主あるじ)” の例文
勝手元には七輪をあふぐ音折々に騷がしく、女主あるじが手づから寄せ鍋茶碗むし位はなるも道理ことわり、表にかゝげし看板を見れば子細らしく御料理とぞしたゝめける
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勝手元かってもとには七輪しちりんあおぐ音折々に騒がしく、女主あるじが手づからなべ茶碗むし位はなるも道理ことわり、表にかかげし看板を見れば仔細しさいらしく御料理とぞしたためける。云云。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
実家さとにありけるころより継母のまつりごとを傍観しつつ、ひそかに自家のけんをいだきて、自ら一家の女主あるじになりたらん日には、みごと家をととのえんものと思えるは、一日にあらざりき。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
女主あるじの梅仙女と言うのが、江戸中の人気を集めて居りますが、江柄三十郎、そんなものには用事も無かったので、今までは振り仰いで、軒のいらかを見ようともしなかったのです。
此の家の女主あるじを呼び、一応介抱の事を言い附けて戸表おもてへ出た、何うしたか知らぬけれど庭木に繋いで置いた余の馬が見えぬ、併し馬にも構って居る場合でない、其のまま外へ出て了ったが
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
之を小歌に擬し、下宿屋の女主あるじふんす。著者の眼中、社界の腐濁を透視し、人類の運命が是等の魔毒に接触する時に如何いかになる可きや迄、甚深に透徹す。是点より観察すれば著者は一個の諷刺家なり。
菊の井のお力は鑄型に入つた女でござんせぬ、又なりのかはる事もありまするといふ、旦那お歸りと聞て朋輩の女、帳場の女主あるじもかけ出して唯今は有がたうと同音の御禮
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
菊の井のお力は鋳型いがたに入つた女でござんせぬ、又なりのかはる事もありまするといふ、旦那お帰りと聞て朋輩の女、帳場の女主あるじもかけ出して唯今は有がたうと同音の御礼
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
帳塲ちやうば女主あるじもかけして唯今たゞいまありがたうと同音どうおん御禮おれいたのんでいたくるましとて此處こゝからしてせば、家中うちゞうおもておくしておいでまちまするの愛想あいさう御祝儀ごしうぎ餘光ひかりとしられて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女主あるじが手づから寄せなべ茶椀ちやわんむし位はなるも道理ことわり、表にかかげし看板を見れば子細らしく御料理おんりようりとぞしたためける、さりとて仕出し頼みにゆきたらば何とかいふらん、にはか今日こんにち品切れもをかしかるべく
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女主あるじづからなべ茶椀ちやわんむしぐらいはなるも道理ことわりおもてにかゝげし看板かんばんれば子細しさいらしく御料理おんりようりとぞしたゝめける、さりとて仕出しだたのみにゆきたらばなにとかいふらん、にはか今日こんにち品切しなぎれもをかしかるべく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)