奨励しょうれい)” の例文
旧字:奬勵
小さいながら代用学校と認められて参加を許されたのだから、先生は宇頂天うちょうてんなほど悦んで、一層空地の鬼ごっこや旗とりが奨励しょうれいされた。
またこれあるところに人生の興味が深いのである。すなわちある意味においてこの類の表裏ならば奨励しょうれいしたいくらいなものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ここにおいて我が地方的玩具の保護や製作を奨励しょうれいする意味が一層深刻しんこくになるのである。(大正十四年九月『副業』第二巻第九号)
土俗玩具の話 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
農作の改善、副業の奨励しょうれい、作業の協同等を当時の村民に早く勧めていた。村の男女の風儀の矯正きょうせいには最も熱心であった。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
これは目的が直接にこの技芸を奨励しょうれいするものではないが、それでも比較的人のよく知っている昔話だから、このついでにざっとそれも話しておきたい。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
辛子湯からしゆでも使わして見たらどうですか」と松本は素人料簡しろうとりょうけんで聞いた。「好いでしょう」と医者はすぐ答えたが、その顔にはごう奨励しょうれいの色が出なかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
新聞ではそれを奨励しょうれいした訳ではなく、単に一種の記事として昨今こんなことが流行すると報道したのであるが、それがいよいよ一般の迷信をあおって、明治二十三
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
善意の奨励しょうれいだ。赤剥あかむきに剥いて言えば、世間に善意の奨励ほどウソのものは無い。悪意の非難がウソなら、善意の奨励もウソである。真実は意の無いところに在る。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
まるで誘拐ゆうかい者に賞金を与えるようなもの、この種の犯罪を奨励しょうれいするのも同じで、われわれの眼の下で、こういう取引が行なわれるのを、法として許すわけにはゆかない。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
前業は養鶏ようけい奨励しょうれいすること、本業はそれを捕ること、後業はそれをべることとうである。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「和寇というもの、いつのまにか、海上に影をひそめてしまったな。惜しいものとはいわん、また秀吉、奨励しょうれいもせんが、自体、八幡船の活躍は、起るべくして起ったものだ。……と、思わんか」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国家主義を奨励しょうれいするのはいくらしても差支ないが、事実できない事をあたかも国家のためにするごとくによそおうのは偽りである。——私の答弁はざっとこんなものでありました。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
日ごろこれらの修養をく人が、ある一事にかかることを為すと、自分はともかく、他人に大なる迷惑をかけ、しかしてかえって悪事を為すことを奨励しょうれいするに傾きがちである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
奈良県下の郡山こおりやまはわけてむかしから金魚飼育の盛んな土地で、それは小藩しょうはんの関係から貧しい藩士の収入を補わせるため、藩士だけに金魚飼育の特権を与えて、保護奨励しょうれいしたためであった。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その男が御免ごめんなさい、どうもくしゃみが出てと、手帛ハンケチを鼻へ当てたが、嚏の音はちっともしなかったから、余はさあさあと、あんに嚏を奨励しょうれいしておいた。この男は自分で英人だと名乗った。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕は決していかなる場合においても表裏の存在は止むを得ぬといって、これを奨励しょうれいせんとする意ではないが、攻撃的に表裏々々と非難ひなんする中には、往々おうおうにして非難にあたいせぬものがある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
食った事が少いから、今までの習慣性で、「食わないでも好い」と答えるか、それとも、たまさかに有りつけるかも知れないと云う意外の望に奨励しょうれいされて「食いたい」と答えるか。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
約束的にせよ善にくみし悪をみ、美を愛し、醜を嫌うものが、単に作物の上においてのみほこさかさまにして悪を鼓吹こすいし、醜を奨励しょうれいする態度を示すのは、ただに標準を誤まるのみならず
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今日こんにちただ今に至るまでこれでいいとかたく信じている。考えてみると世間の大部分の人はわるくなる事を奨励しょうれいしているように思う。わるくならなければ社会に成功はしないものと信じているらしい。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
奨励しょうれいした。次に自分は
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)