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奧山
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おくやま
あれは
狐が
松明を
振るのだとも
言ひましたし、
奧山の
木の
根が
腐つて
光るのを
狐が
口にくはへて
振るのだとも
言ひました。
なほ
人智がいよ/\
發達し
人口がどん/\
増すにつれて、
最後には
奧山の
木までも
伐つて
家屋、
橋梁、
器具、
機械、
汽車、
電車、
鐵道の
枕木、
電信、
電話の
柱といふように
父さんはこの
好きな
老人から、
畠よりあらはれた
狸や
狢の
話、
山で
飛び
出した
雉の
話、それから
奧山の
方に
住むといふ
恐ろしい
狼や
山犬の
話なぞを
聞きましたが、そのうちに
眠くなつて