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奇矯
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ききょう
ふりがな文庫
“
奇矯
(
ききょう
)” の例文
彼の簡潔主義は一面このような節制を伴っていたのであり、これが彼を
奇矯
(
ききょう
)
さや、奇矯さから来る退屈さから防いでいたことは
明
(
あきら
)
かだ。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
それでは仮に以上のような
奇矯
(
ききょう
)
の説が、一面の真理を含んでいるとしたら、実際に科学教育をどうするかという問題が出て来る。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
昔の探偵小説家、ことに英米、アングロサクソン系の作家が、いかに
奇矯
(
ききょう
)
な手品的トリックを考え出したかというお話である。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やや
奇矯
(
ききょう
)
に失した私の民族起原論が、ほとんど
完膚
(
かんぷ
)
なく撃破せられるような日がくるならば、それこそは我々の学問の新らしい展開である。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この言葉は一応
奇矯
(
ききょう
)
に聞こえるが、静かに考えると、非常に
含蓄
(
がんちく
)
の深い、適切無比な形容詞であることに気がつくだろう。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
▼ もっと見る
現に今日でも世界の人間の大多数に愛好されているのは、依然として正常健康な音楽であり、決して
奇矯
(
ききょう
)
激越の調でないことは統計的にも明らかである。
望ましい音楽
(新字新仮名)
/
信時潔
(著)
きっと、これくらいには、大せつにまもられてはいると思ったが、こりゃまるで、はこいりむすめですねと、久しぶりでかれは
奇矯
(
ききょう
)
の言葉を
弄
(
ろう
)
して見せた。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
次に堺氏が「ルソーとレーニン」および「労働者と知識階級」と題した二節の論旨を読むと、正直のところ、僕は自分の申し分が
奇矯
(
ききょう
)
に過ぎていたのを感ずる。
片信
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼の足跡をつぶさにふりかえると、この想像も必ずしも
奇矯
(
ききょう
)
ではないようである。古狸よりは、むしろお人好しの然し図太いところもある平凡な偉人であったようだ。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
同時にその性状が
奇矯
(
ききょう
)
で
頑強
(
がんきょう
)
である場合が多いから、学者と言っても同じく人間であるところの同学や先輩の感情を害することが多いという事実も争われないのである。
時事雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
さらにこの夜空のところどころにときどき大地の底から発せられるような
奇矯
(
ききょう
)
な質を帯びた
閃光
(
せんこう
)
がひらめいて、
琴
(
こと
)
のかえ手のように
幽毅
(
ゆうき
)
に、世の果ての
審判
(
しんぱん
)
のように深刻に
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
平賀元義なる名は昨年の夏
羽生
(
はにゅう
)
某によりて岡山の新聞紙上に現されぬ、しかれどもこの時世に紹介せられしは「恋の平賀元義」なる題号の下に
奇矯
(
ききょう
)
なる歌人、潔癖ある国学者
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
兄ぎみ源三郎(
光央
(
みつなか
)
)さまには、
奇矯
(
ききょう
)
のおふるまい多しとて廃嫡され、そのため世子に直られたのであるが、御知能おくれたまえるおん身には、重責のわずらいいかばかりかと
若き日の摂津守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
どうぞこういう言葉を私がただ
奇矯
(
ききょう
)
な事を申すようにお思いなさらないで下さいまし。
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私はことさらに
奇矯
(
ききょう
)
な言を弄して、志賀直哉の文学を否定しようというのではない。
可能性の文学
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
といって金にたいするクリストフの
奇矯
(
ききょう
)
な説を、
真面目
(
まじめ
)
に受け取ったわけではない。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
理は
明晰
(
めいせき
)
に、声は朗々、しかも何らの
奇矯
(
ききょう
)
なく、激するなく、孔明は論じつづけた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平俗からも
奇矯
(
ききょう
)
からも、同じ程度に遠ざかっているかれの才能は、広い公衆の信仰と、気むずかしい連中の、嘆賞と要求とをふくんだ関心を、同時にかちうるようにできあがっていた。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
酩酊
(
めいてい
)
した連中はげらげら笑いながら、そのそばに立ち止まると、口から出まかせに
猥褻
(
わいせつ
)
な冗談を言い始めた。と、突然一人の若い紳士が、まるでお話にもならぬ
奇矯
(
ききょう
)
な問題を考えついた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
中川の言葉は
奇矯
(
ききょう
)
なれども大原は深く感ずる事あり
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
これは私が好んでする
奇矯
(
ききょう
)
な論法ではない。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
たちまち
奇矯
(
ききょう
)
な漱石氏に変ってしまった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そこで弟の雑貨商が取調べを受けることになるが、結局、名探偵の
奇矯
(
ききょう
)
な推理によって、兄弟入れかわりの真相が暴露するという話である。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この家はその
奇矯
(
ききょう
)
な親子兄弟の
棲
(
す
)
んでゐた家だつた。雪子は話し終つて、ほつとして云つた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
少し
奇矯
(
ききょう
)
な例であるが、山奥で道に迷った時、或る木を見て、これは人工の加わった枝ぶりだと知って、その方向に歩いて助ったとする。学問にはならなくても助る方がよい。
茶碗の曲線:――茶道精進の或る友人に――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「東京の人は衣服を食っているか」と言った
田舎
(
いなか
)
のある老人の
奇矯
(
ききょう
)
な言葉が思い出される。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ベルリオーズの飛び離れた
奇矯
(
ききょう
)
さは、ヘンリエッタ・スミスソンとの関係で絶頂に達した。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
この事実が肯定されるなら、私がクロポトキンやレーニンやについて言ったことは、
奇矯
(
ききょう
)
に過ぎた言い分を除去して考えるならば、当然また肯定さるべきものであらねばならない。
片信
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
一見
奇矯
(
ききょう
)
なこの言葉も、実は極めて当然な次の理由によるのである。
意慾的創作文章の形式と方法
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
とこの先生折々
奇矯
(
ききょう
)
の事を言う。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
復一はそこからはるばる眼の下に見える谷窪の池を見下して、
奇矯
(
ききょう
)
な勇気を奮い起した。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
林助手は就職
間
(
ま
)
もなかったけれど、博士の
奇矯
(
ききょう
)
な言動には、もう慣れっこになっていた。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし単に説の
奇矯
(
ききょう
)
であり、常識的に考えてありそうもないというだけの理由から
比較言語学における統計的研究法の可能性について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私などは悪い弟子で、それが少しこじれて、時々
奇矯
(
ききょう
)
の言を
弄
(
ろう
)
して損をすることもあるが、神聖なものに対する畏敬の念という一番大事なものを教わったことをいつも内心では喜んでいる。
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
と
相
(
あい
)
も変らず
奇矯
(
ききょう
)
なる一
家言
(
かげん
)
。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その所業の残忍、その計画の
奇矯
(
ききょう
)
、到底常人の想像し得る所ではなかった。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“奇矯”の意味
《名詞》
言動が普通と異なっていて異様なこと。また、そのようなさま。奇異。奇抜。突飛。
(出典:Wiktionary)
奇
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
矯
常用漢字
中学
部首:⽮
17画
“奇矯”で始まる語句
奇矯人
奇矯児