アマ)” の例文
その罪過は所謂八個の「アマつ罪」、即ち畔放アハナチ溝埋ミヅウメ樋放ヒハナチ頻蒔シキマキ串刺クシサシ生剥イキハギ逆剥サカハギ屎戸クソベの八個にして、大祓の祝詞に特筆する所なり。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
……安国と平けくしろしめせとことよさし給ひて、アマ御量ミハカリもちて、ことゝひし磐根・木根ち、草の隻葉カキハをも言封コトヤめて、天降り給ひし……
此所にひとやすみして、又はる/″\とのぼり、ついにいたゞきにのぼり、かのアマのさかほこを見たり。
アメ」が「アマ」になる。こういう音の変化があります。この「カ」「ハ」「マ」にかわる「ケ」「へ」「メ」は、いずれも乙の類に属するもので、四段已然形と同じ形であります。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
其のりとに於て発する詞章である処からのりとゴトなのであつた。アマつのりととは天上の——或は其式を伝へた神秘の——祝詞座即、高御座タカミクラである。
アマツミは、田植ゑに臨む、村の仮装神人及び巫女——早処女サヲトメ——の、長期の物忌み生活から出た起原説明物語であつた。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
即、此れが、古代の表現を以てすれば、「アマ祝詞ノリト」と言はれるものに相当する。天伝来の祝詞といふことである。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
即、「アマ詔座ノリト」と名づける神事の一様式を、天上にもあることを想像して居たのである。さう言ふのりとごとの性質上、荘厳な讃辞を加へるのが常である。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
あまんじやくは即、土地の精霊で、日本紀には、アマ探女サグメとして其話があり、古事記や万葉集にも見える。やはり、何にでも邪魔を入れる、といふ名まへであらう。
鬼の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
而も此アマ窟戸イハトの物語を中心にした鎮魂の呪言に、其誘因として語られた天つ罪及びハラへ・アガナひの起原を説く物語、更に魂戦モノアラソヒ女軍メイクサの由来に関聯した天孫降臨の大事などが
地上の事物に、アマアマつ・アメのなど言ふ修飾を加へたのが、其だ。日本古代の文学を見るには、みこともちの思想及び時代並びに地理の超越、この三つの点を考へる事が、大切である。
呪言の一番神秘な部分は、斎部氏が口誦する様になつて行つた。アマ祝詞ノリト・天つ奇護言クスシイハヒゴトと称するもの——かなり変改を経たものがある——で、斎部祝詞におもかげを止めてゐるのは、其為である。
橘守部の痛快に解釈した「大王オホギミ御寿ミイノチは長くアマたらしたり」の歌なども「天之御蔭・日之御蔭」といふことが、類型的の表現になつてゐる為に、其間に、綱の事を云ふのを忘れて了うてゐるのである。
神道に現れた民族論理 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
アマつのりとのフトのりとゴト
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)