大連たいれん)” の例文
例の船の用事よ。大連たいれん通いの……うんうん……あの一件さ。飛行機モリスファルマンが二台無事に通れあ後はいくらでもだ……。ほかに変りはないね。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この汽車は私のために香木かうぼくいてく」こんな返電を大連たいれんへ打つた。石炭を使はないで薪を用ひるのは次の国境迄ださうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大連たいれんで夜間飛行の練習をやっていると、計器盤のある処にいているライトの光で、その黒塗くろぬりの計器盤に、じぶんの乗っている飛行機のうしろから
追っかけて来る飛行機 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
政治上の力によった地名は何といっても仕方がないのであるが近い処では横浜の町と遠い所では大連たいれんの町の名を見ても、どしどし新しい地名を附けてしまった。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
実業家馬越まごし恭平氏は、旧臘きうらふ大連たいれんへ往つたが、用事が済むと毎日のやうに骨董屋あさりを始めた。何か知ら、掘出し物をして、好者すきしや仲間の度胆を抜かうといふ考へなのだ。
このまけぬ気の腕白者は、出京早々から肩を入れてくれた久松町の医者某が、大連たいれんを催してくれた夜に、語りものの「鎌倉三代記」を絶句して高座に泣伏してしまった。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
まもなくあっちのほうが金がもうかるといって、また大連たいれんへ出かせぎに行った。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでは、どこがいいだろうかな? 湖南こなんも戦争だ。大連たいれんはやはり家賃が高い。
幸福な家庭 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「さうです……あれは大連たいれんでもでしたんですがね?」
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
ここは東京の築地の奎洋堂けいようどうという大きな外科病院の二等室なのだ。向うむきに寝ている大男は私の同室患者で、青木という大連たいれんの八百屋さんである。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
西伯利亜シベリアの景色お気に入りしと思ふ」と云ふ大連たいれん平野万里ひらのまりさんから寄越よこしたものであつた。伊藤公の狙撃されたと云ふ場処ばしよに立つて、その眼前がんぜんに見た話を軍司ぐんじ氏の語るのを聞いた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「確か大連たいれんに旅行してる筈だ、電報をやらうか。」
チャンと大連たいれん行きのコースを取っておりますから。実は大連からツイ今さっき無線電信が這入りましたのでね……この珈琲コーヒー茶碗の内側に電文が暗号で書いてあります。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……そのほかに爆薬ハッパの出る処は、大連たいれん上海シャンハイですが、上海のは大きい代りに滅多に出ません。おまけに英国か仏蘭西製フランスできの上等品で、高価たかい上に使い勝手が違うのがきずです。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ジョージせえ見付かれあ、あとは彼奴あいつに用なんかねえんだからな。……あとには身よりよりのねえあまが一人残る。こいつをサヤマの贋手紙で大連たいれんあたりへ呼び出させる。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
費用は五十万の漁民りょうみんから一戸当り毎年二十銭ずつ、各道の官庁から切ってもらって、半官半民的に漁民の指導保護、福利増進に資すると同時に北は露領沿海州から、西は大連たいれん
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それから京城の鶏林けいりん朝報社長、林逞策りんていさく。あれで巨万の富豪なんだよ。代議士恋塚こいづか佐六郎……三保の松原に宏大な別荘を構えている……アレだ。お次は大連たいれんの貿易商で満鉄の大株主股旅由高またたびよしたか
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
とりあえず甲板デッキの部屋へ帰りましょうね。あそこでユックリ御相談しましょう。ナアニ。この船の中では船長以下が僕の命令通りに動きますから、心配は要りません。問題は大連たいれんに着いてからです。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)