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大瀧
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おほたき
原口の
瀧、いはれあり、
去ぬる
八日大雨の
暗夜、十
時を
過ぎて
春鴻子來る、
俥より
出づるに、
顏の
色慘しく
濡れ
漬りて、
路なる
大瀧恐しかりきと。
やがて、
川の
幅一
杯に、
森々、
淙々として、
却つて、また
音もなく
落つる
銚子口の
大瀧の
上を
渡つた
時は、
雲もまた
晴れて、
紫陽花の
影を
空に、
釣舟草に、ゆら/\と
乗心地も
夢かと
思ふ。
否、
誰でも
然う
申します
那の
森から三
里ばかり
傍道へ
入りました
処に
大瀧があるのでございます、
其れは/\
日本一ださうですが
路が
嶮しうござんすので、十
人に
一人参つたものはございません。