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夜深
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よふけ
ふりがな文庫
“
夜深
(
よふけ
)” の例文
というような事で長く議論をして居りましたが、同氏はどう留めても
肯
(
き
)
かぬと見られたか若干の餞別を残して
夜深
(
よふけ
)
に帰って行かれた。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そよそよと流れて来る
夜深
(
よふけ
)
の風には青くさい
椎
(
しい
)
の花と野草の
匂
(
におい
)
が含まれ、松の
聳
(
そび
)
えた
堀向
(
ほりむこう
)
の空から突然
五位鷺
(
ごいさぎ
)
のような鳥の声が聞えた。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ここは汽車の音も間近に聞こえ、
夜深
(
よふけ
)
には家を揺する貨車の響きもするのだったが、それさえ我慢すれば
居心地
(
いごこち
)
は悪くなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼に心を寄せし
輩
(
やから
)
は皆彼が
夜深
(
よふけ
)
の
帰途
(
かへり
)
の程を
気遣
(
きづか
)
ひて、我
願
(
ねがは
)
くは
何処
(
いづく
)
までも送らんと、
絶
(
したた
)
か
念
(
おも
)
ひに念ひけれど、彼等の
深切
(
しんせつ
)
は無用にも、宮の帰る時一人の男附添ひたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
夜深
(
よふけ
)
では有るけれど、叩き起して、語り明かしても好いという決心で彼の宿を尋ねた。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
▼ もっと見る
其の年には四月の
月中
(
つきぢゆう
)
にたつた二三度、それも花を汚す塵を洗ふ爲めにと、わざ/\
夜深
(
よふけ
)
から降出して曉には必ず止んで呉れる情深い雨であつた。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
昨夜も彼女は彼の寝間へ入って来て、
夜深
(
よふけ
)
の窓の下にびちゃびちゃ
這
(
は
)
いよる水の音を聞きながら、夜明け近くまで話していたが、それは文字通りの話だけで何の意味があるわけでもなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そつと
夜深
(
よふけ
)
の小窓を明けて見ると、低く
烟
(
けぶ
)
りわたる空の其處此處に、ぽつり/\と浮いてゐる星は、形の恐しく大きいばかりで、にじんだ色のやうに光がない。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
廻船問屋
(
かいせんどんや
)
で栄えていた故郷の家の屋造りや、庸三の故郷を
聯想
(
れんそう
)
させるような雪のしんしんと降りつもる冬の静かな
夜深
(
よふけ
)
の
浪
(
なみ
)
の音や、世界の果てかとおもう北の荒海に、幻のような灰色の
鴎
(
かもめ
)
が飛んで
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
少し風が吹きはじめたが、薄い霧が下りているので、見渡す
夜深
(
よふけ
)
の街の
蒼
(
あお
)
く
静
(
しずか
)
にかすんださまは夏の夜明けのようで、
淡
(
あわ
)
くおぼろな星の光も冬とは思われない。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
帚葉翁
(
そうようおう
)
とわたくしとが、銀座の
夜深
(
よふけ
)
に、初めてあの娘の姿を見た頃と、今年図らず寺島町の路端でめぐり逢った時とを思合せると、歳月は早くも五年を過ぎている。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
然り、
夜深
(
よふけ
)
の街の趣味は、
乃
(
すなは
)
ちこの不安と懐疑と好奇の念より呼び起さるゝ神秘に
有之候
(
これありそろ
)
。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
深川の堀割の
夜深
(
よふけ
)
、石置場のかげから
這出
(
はいだ
)
す辻君にも等しい
彼
(
か
)
の
水転
(
みずてん
)
の身の
浅間
(
あさま
)
しさを愛するのである。悪病をつつむ
腐
(
くさ
)
りし肉の上に、
爛
(
ただ
)
れたその心の悲しみを休ませるのである。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
深
常用漢字
小3
部首:⽔
11画
“夜”で始まる語句
夜
夜半
夜更
夜中
夜叉
夜具
夜鷹
夜寒
夜明
夜業