づつみ)” の例文
られたと見えて苦しそう、京橋づつみをタタタタと逃げまろんできた。と、その影を追い慕って、波を泳いでくるような銀蛇ぎんだが見えた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本づつみ編笠あみがさ茶屋まで行くと、——これから先は町人共でさへ顏を隱す者が多いくらゐだから、御身分の方がお顏をさらしては通りにくい。
と其後吉原土手のほとりへ毎朝早くより久八は出行いでゆき蘆簀茶屋よしずぢややかげひそみて待つとも知らず三四日すぎ飮馴のみなれぬ酒の二日ゑひおもひたひを押ながら二本づつみを急ぎ足に歸る姿すがた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
表通りは吉原の日本づつみにつづく一と筋道で、町屋まちやも相当に整っているが、裏通りは家並やなみもまばらになって、袖摺稲荷のあるあたりは二、三の旗本屋敷を除くのほか
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
日本づつみ編笠あみがさ茶屋まで行くと、——これから先は町人共でさえ顔を隠す者が多いくらいだから、御身分の方がお顔をさらしては通りにくい。
「へい、実はよど仕舞船しまいぶねで、木村づつみへ着いたは四刻よつ頃でしたが、忘れ物をしたために、問屋で思わぬ暇をつぶしましたんで」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう約束して、二人は、加茂づつみを北と南へわかれた。翌晩、四郎は身軽ないでたちに黒いぬのを頭から顔へ巻いて、吉水禅房の外をうろついていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
間もなく平次は、八五郎と一緒に觀音樣を横目に拜んで、新鳥越から日本づつみにかゝつて居りました。
お米の指が離そうともがく、抱えた両手の力は強い。折も悪く、早や逢魔おうまどきに近い九条づつみ、人通りも絶えている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
間もなく平次は、八五郎と一緒に観音様を横目に拝んで、新鳥越から日本づつみにかかって居りました。
こう考えながら、いつか、本田づつみの辺までくると、とある居酒屋の軒下に、一挺のかごが置いてあった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「土手の道哲だうてつの眞似事さ——日本づつみは昔から乞食坊主の多いところだよ」
宇治橋をこえ、やがて木津川づつみにかかる。河内平かわちだいらの空は雲雀ひばりかすんで、絵の中を行く気がする。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「土手の道哲どうてつの真似事さ——日本づつみは昔から乞食坊主の多いところだよ」
うまうまと秦野屋はたのやに誘い出されて、あの甲府の信玄づつみなわてで、突然、相良金吾に出会った時、どういう気持か後では自分でも分らない心理ではあったが、帯の間に秘めていた魔薬を自分の顔に浴びて
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこは、日本づつみだった。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)