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嘖々
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さくさく
ふりがな文庫
“
嘖々
(
さくさく
)” の例文
その頃、京都大学の哲学教授で、名声
嘖々
(
さくさく
)
として、思想界の注目をひいていた北田博士が珍しく上京して、大学の講堂で講演をした。
青木の出京
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
であればこそ、同門の令嬢たちも、一葉という文名
嘖々
(
さくさく
)
と登る以前にも、内弟子同様な身分である夏子を卑しめもしなかったのであろう。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ただ氏の学識が深遠で、名声
嘖々
(
さくさく
)
たるよりして、委員などは、帝の訓令に拘泥せずに、氏の学説を法典中に編入したものであろうというておる。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
が、それにもかかわらず、世間は盛んに
嘖々
(
さくさく
)
して歓迎し、『東朝』編輯局は主筆から
給仕
(
きゅうじ
)
に到るまでが
挙
(
こぞ
)
って感歎した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
天下に
嘖々
(
さくさく
)
たる若林博士が、九大医学部長の職権を利用しつつ、念を入れ過ぎる位に念を入れて仕上げた仕事ですから誰が疑点を
挿
(
はさ
)
み得ましょう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
深山
(
みやま
)
の
美玉都門
(
びぎょくともん
)
に
入
(
いっ
)
てより三千の
碔砆
(
ぶふ
)
に顔色なからしめたる評判
嘖々
(
さくさく
)
たりし当代の佳人岩沼令嬢には幾多の公子豪商熱血を頭脳に
潮
(
ちょう
)
して
其
(
その
)
一顰一笑
(
いっぴんいっしょう
)
を
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
また、べつの親戚の娘は、女学校の入学試験に落第したのは、親戚に私のような悪評
嘖々
(
さくさく
)
たる人間がいるからであると言って、私に責任を問うて来た。
可能性の文学
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
爾来
(
じらい
)
、この池を天魔ヶ池と呼ぶことになったらしいのは、天下到るところに
人気
(
にんき
)
嘖々
(
さくさく
)
たる古今の英雄秀吉も、この地へ来ては、まさしく天魔に相違ない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
世を挙げて戦争に熱中している際の出版ではあり、又実に名篇であったから一段と好評
嘖々
(
さくさく
)
たるものがあった。
山の今昔
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
おもうにそのころ二十七歳のおぼろは
漸
(
ようや
)
く新進作家として名声
嘖々
(
さくさく
)
たるものありだしたときだったのだろう。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
が、また、一方、伯父が文名
嘖々
(
さくさく
)
たる大家ででもあったなら、案外、自分は得意になって持って行くような軽薄児ではないか、とも考えられる。三造は色々に迷った。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
この一篇が忽ち漱石氏の名を文壇に
嘖々
(
さくさく
)
たらしめた事は世人の記憶に新たなる所である。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
宗家の不利を顧みざりしにや。黄門は世に賢明の人なりと
嘖々
(
さくさく
)
す。さる人にして、いかで朝廷重くなれば徳川軽くなるの理見えずやあるべき。是に於て黄門の真意は甚だ疑ふべし。
大久保湖州
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この闇太郎と言う盗賊——先き程、雪之丞を乗せた駕籠屋が、まるで江戸自慢の一つのように、
謳
(
うた
)
った通り、今や江都に、侠名
嘖々
(
さくさく
)
たる怪人物。生れは、由緒正しい御家人の家筋。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
出世作「
蒲団
(
ふとん
)
」を書いたのが、明治四十年であるから、すでに文名
嘖々
(
さくさく
)
たるものがあるのに、代々木山谷の家を訪ねるのに、花袋では分らず、本名の田山録弥さんときいて、やっと分った。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
弘庵は
夙
(
はや
)
くより水戸の家臣
藤田東湖
(
ふじたとうこ
)
と親しく交っていたので、水戸前中納言は東湖に命じて海防に関する意見を弘庵に問わしめた。弘庵の声名は当時東都の学者中最
嘖々
(
さくさく
)
としていた故である。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
女団洲粂八の名は東京中に知れ渡って、その名声
嘖々
(
さくさく
)
たるものであった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうしたわけで、五万以上も人口のあるこの△△△市で、若杉裁判長といえば、名裁判長として令名が
嘖々
(
さくさく
)
たるものでありました。
若杉裁判長
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
かえって日本においてより外国での方が名声は
嘖々
(
さくさく
)
としている。進取
邁進
(
まいしん
)
した彼女のあとにつづいたものは一人もない。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
晩年余りに感服しなくなってからもなお修辞上の精妙を
嘖々
(
さくさく
)
し、ドストエフスキーの『罪と罰』の如きは露国の最大文学であるを確認しつつもなお
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
忽
(
たちまち
)
にして世人の視線を
聚
(
あつ
)
め、未だ読まざるものはもって恥となし、一度読みたるものは
嘖々
(
さくさく
)
その美を嘆賞し、洛陽の紙価これがために貴しという盛況を呈した。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
又保胤の父の忠行は後の人の
嘖々
(
さくさく
)
として称する陰陽道の
大
(
だい
)
の
験者
(
げんざ
)
の
安倍晴明
(
あべのせいめい
)
の師であったのである。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この難解の訳文を平易に評釈して世間に示し、口を極めて原作と訳文との妙味を
嘖々
(
さくさく
)
激称したは
石橋忍月
(
いしばしにんげつ
)
であった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
馬琴の作るところ、長篇四五種、
八犬伝
(
はっけんでん
)
の雄大、
弓張月
(
ゆみはりづき
)
の壮快、皆
江湖
(
こうこ
)
の
嘖々
(
さくさく
)
として称するところなるが、八犬伝弓張月に比して
優
(
まさ
)
るあるも劣らざるものを
侠客伝
(
きょうかくでん
)
と
為
(
な
)
す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ブラックストーン(Blackstone)が英国空前の大法律家と称せられてその名声
嘖々
(
さくさく
)
たりし当時の事であるが、その
講筵
(
こうえん
)
をオックスフォールド大学に開いた時、聴講の学生は千をもって数え
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
が、紅葉自身は常に外国小説を読んで頭を肥やしていた、
就中
(
なかんずく
)
ゾラの作を愛読して『ムール和上の破戒』の如きは再三反読してその妙を
嘖々
(
さくさく
)
していた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
この第一編は今も昔も変らぬ
書肆
(
しょし
)
の商略から表紙にも
扉
(
タイトルページ
)
にも春廼舎朧著と署して二葉亭の名は序文に見えるだけだから、世間は春廼舎をのみ
嘖々
(
さくさく
)
して二葉亭の存在を少しも認めなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
嘖
漢検1級
部首:⼝
14画
々
3画
“嘖々”で始まる語句
嘖々乎