呼寄よびよ)” の例文
組下の両名家、井上、稲富が争いを続けていては、世上への聞え、部下の示しも如何いかんと、自分の宅へ二人呼寄よびよせ、部内の重立おもだった者を立会として、和解の宴を催しました。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
こゑふるへ、をのゝいて、わたしたち二十人にじふにんあまりをあわたゞしく呼寄よびよせて、あの、二重にぢう三重さんぢうに、しろはだ取圍とりかこませて、衣類きもの衣服きものはななかに、肉身にくしん屏風びやうぶさせて、ひとすくみにりました。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれどもただ私がその事を人に語らず顔色かおいろにも見せずに、御家老様ごかろうさまと尊敬して居たから、所謂いわゆる国家老くにがろうのおぼうさんで、今度私を江戸に呼寄よびよせる事についても、家老に異議なくすぐに決してさいわいであったが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
きかれ夫は近頃ちかごろかたじけなし早速に呼寄よびよせ療治すべし其者は何所に居やと尋ねらるゝに勇右衞門其者儀そのものぎは長谷川町にまかあり名は城富と申して至つてはり功者こうしやに候と申けるにぞ越前守殿早々用人の山本新左衞門やまもとしんざゑもん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)