周囲めぐり)” の例文
旧字:周圍
諏訪の湖あかり——周囲めぐりの山が昏れてから、ぽんと一枚、仰むきに置かれた、手鏡。このやうなところに、身だしなみはある。天は洒落しやれものだ。
独楽 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
時が移るので、釣を断念し、また舟に上って島めぐりをする。大沼の周囲めぐり八里、小沼を合せて十三里、昔は島の数が大小百四十余もあったと云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
今ほど此室ここかけり来て、赫々かくかくたる洋燈ランプ周囲めぐりを、飛びめぐり、飛び狂い、火にあくがれていたりしが、ぱっと羽たたき火屋ほやの中へ逆さまに飛び入りつ
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
魚沼郡うをぬまこほり清水しみづ村のおくに山あり、高さ一里あまり、周囲めぐりも一里あまり也。山中すべて大小の破隙われめあるを以て山の名とす。
階下したよりほのかに足音の響きければ、やうやう泣顔隠して、わざとかしらを支へつつしつ中央まなかなる卓子テエブル周囲めぐりを歩みゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
天命を静かに待つとも知るや知らずや、風雨いとはず塔の周囲めぐりを幾度となく徘徊する、怪しの男一人ありけり。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
町の恰度中央なかほどの大きい造酒家さかやの前には、往来に盛んに篝火かがりを焚いて、其周囲めぐり街道みちなりに楕円形な輪を作つて、踊が初まつてゐる。輪の内外うちそとには沢山の見物。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
下の方へ降って行きますとちょうどひさごの形をして居る池がある。それはその形によって「瓢池ひさごいけ」と名を命けて置いた。その池の周囲めぐりは恐らく半里位しかなかったろうと思います。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
わしのそよぎはすべて世の中の熟したものの周囲めぐりに夢のように動いておるのじゃ。
常陸ひたちの国霞が浦の南に、浮島うきしまと云って、周囲めぐり三里の細長い島がある。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
この身の周囲めぐりにありて、永遠に物を造る力を、この使は宣伝す。
その周囲めぐりかずかぎりなき蜂のむれおとたてて光りかがやき
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いざその時はと手にして来し六分鑿ろくぶのみの柄忘るるばかり引っ握んでぞ、天命を静かに待つとも知るや知らずや、風雨いとわず塔の周囲めぐりを幾たびとなく徘徊はいかいする、怪しの男一人ありけり。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その城下を通って行くとその横に小さな三丁周囲めぐり位の池がある。その池の城の山手になって居る間の道に見張って居る人間がある。その人は誰か通り掛るとどこの宿に着くかというて尋ねるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
愛の優しいらちをお前達の周囲めぐりうようにしよう。
つぶてのごとくばらりと出で、腕車の周囲めぐり押取巻おっとりまく。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その往いては返る競争で、吹き過ぐる周囲めぐり