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呉絽
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ごろ
ふりがな文庫
“
呉絽
(
ごろ
)” の例文
巻莨
(
まきたばこ
)
を吹かしますが、取出すのが、持頃の
呉絽
(
ごろ
)
らしい信玄袋で、どうも色合といい、こいつが黒い
瓶
(
かめ
)
に見えてならなかった。……
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それから、この赤い
呉絽
(
ごろ
)
の紙入だ、滅多にある品ぢやない。この紙入が半三の死骸の懷中にあつたのだ。中には小判で五兩」
銭形平次捕物控:202 隠し念仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私たちがおかみさんの運んで来た渋茶を飲んでいると、古障子を開けて
呉絽
(
ごろ
)
の羽織を着た中老の男が出て来て声をかけた。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
帯
(
おび
)
ははやりの
呉絽
(
ごろ
)
であろう。
引
(
ひ
)
ッかけに、きりりと
結
(
むす
)
んだ
立姿
(
たちすがた
)
、
滝縞
(
たきじま
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
が、いっそ
背丈
(
せたけ
)
をすっきり
見
(
み
)
せて、
颯
(
さっ
)
と
簾
(
すだれ
)
の
片陰
(
かたかげ
)
から
縁先
(
えんさき
)
へ
浮
(
う
)
き
出
(
で
)
た十八
娘
(
むすめ
)
。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
風邪
(
かぜ
)
を引いたと見えて、このあついのにちゃんちゃんを着て、
小判形
(
こばんなり
)
の
桶
(
おけ
)
からざあと旦那の肩へ湯をあびせる。右の足を見ると親指の股に
呉絽
(
ごろ
)
の
垢擦
(
あかす
)
りを
挟
(
はさ
)
んでいる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
呉絽
(
ごろ
)
顎十郎捕物帳:03 都鳥
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
襟
(
えり
)
の合せ目から燃えるような
緋無垢
(
ひむく
)
の肌着をちらと覗かせ、卵色の
縮緬
(
ちりめん
)
の着物に
呉絽
(
ごろ
)
の羽織、雲斎織の
袋足袋
(
ふくろたび
)
、大脇差
茶屋知らず物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
八朔
(
はつさく
)
の宵から豪雨になつて
亥刻
(
よつ
)
(十時)近い頃は漸くこやみになりましたが、店から屆けてくれた
呉絽
(
ごろ
)
の雨合羽は内側に汗をかいて着重りのするやうな鬱陶しさ——。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
娘
(
むすめ
)
は
落
(
お
)
ちた
団扇
(
うちわ
)
を
流
(
なが
)
し
目
(
め
)
に、
呉絽
(
ごろ
)
の
帯
(
おび
)
に
手
(
て
)
をかけると、
廻
(
まわ
)
り
燈籠
(
どうろう
)
の
絵
(
え
)
よりも
速
(
はや
)
く、きりりと
廻
(
まわ
)
ったただずまい、
器用
(
きよう
)
に
帯
(
おび
)
から
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
して、さてもう一
廻
(
まわ
)
り、ゆるりと
廻
(
まわ
)
った
爪先
(
つまさき
)
を
縁
(
えん
)
に
停
(
とど
)
めたその
刹那
(
せつな
)
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それは、エメラルド・グリーンの素晴らしい
呉絽
(
ごろ
)
、
翡翠
(
ひすゐ
)
の息づくやうな飾りが付いて、金無垢の小ハゼで留めた、平次も見たことのないやうな、恐ろしく豪華なもの。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
懷中
(
ふところ
)
を搜ると、奧深く入れてあつたのは、何んと女持の赤い
呉絽
(
ごろ
)
の紙入で、中から出て來たのは、小判が五枚。その頃の經濟事情から言へばこれは容易ならぬ大金です。
銭形平次捕物控:202 隠し念仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
取出したのは、緑色
呉絽
(
ごろ
)
の紙入、半分は化粧道具を疊み込んだ、それは
洒落
(
しや
)
れたものでした。辰三はそれを、自分の物ででもあるやうに、至つて氣樂に八五郎の手の上に置くのです。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
地質は
呉絽
(
ごろ
)
という毛織で、明治になっては風呂のアカ摺りに、名残りをとどめた。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
畳の上に落ちていた赤い
羅紗
(
ラシャ
)
の紙入を開けると、小菊が二三枚と、
粉白粉
(
こなおしろい
)
と、
万能膏
(
ばんのうこう
)
の貝と、小判形の赤い
呉絽
(
ごろ
)
の布と——その布の裏には、ベットリ膏薬が付いているではありませんか。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
疊の上に落ちてゐた赤い
羅紗
(
らしや
)
の紙入を開けると、小菊が二三枚と、粉白粉と、
萬能膏
(
ばんのうかう
)
の貝と、小判形の赤い
呉絽
(
ごろ
)
の布と——その布の裏には、ベツトリ膏藥が付いて居るではありませんか。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
呉
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
絽
漢検1級
部首:⽷
13画
“呉絽”で始まる語句
呉絽服綸
呉絽服連