吹流ふきなが)” の例文
不意に道を塞いだお通は、手拭を吹流ふきながしにかぶって山風にチラチラと美しい片面を見せ乍ら、唐櫃の先をピタリと押えたのです。
天保の飛行術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
涙を払つて——唯今の鸚鵡おうむの声は、わたくしが日本の地を吹流ふきながされて、うした身に成ります、其の船出の夜中に、歴然ありありと聞きました……十二一重じゅうにひとえに緋のはかまを召させられた
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おそる/\搖籃ゆれかごから半身はんしんあらはして下界げかいると、いま何處いづこそら吹流ふきながされたものやら、西にしひがし方角ほうがくさへわからぬほどだが、矢張やはり渺々べう/\たる大海原おほうなばら天空てんくう飛揚ひやうしてるのであつた。
なみだはらつて——唯今たゞいま鸚鵡あうむこゑは、わたくし日本につぽん吹流ふきながされて、うしたります、船出ふなで夜中よなかに、歴然あり/\きました……十二一重じふにひとへはかまさせられた
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)