名乗なの)” の例文
旧字:名乘
「それがよく分らない。烏啼と名乗なのる彼に会った者は誰もない。しかし脅迫状きょうはくじょうなどで、烏啼天駆の名は誰にも知れわたっている」
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ふ。われすこちからありて、やわか座頭ざとうおとるまじい大力だいりきのほどがおもはれる。みづからくま張殺はりころしたと名乗なのるのと、どちらが点首うなづかれるかはろんおよばぬ。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「だが金太郎きんたろうというさむらいにはおかしい。父親ちちおや坂田さかたというのなら、いまから坂田金時さかたのきんとき名乗なのるがいい。」
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ロンドンのちまたに喧嘩けんかがあると、職務がらの礼状を発することなく、みずからその渦中かちゅうに飛びこみ、「サアここにヒュースが来た、ヒュースの拳骨げんこつを知らぬか」と名乗なの
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
二人の日本人が倫敦ロンドンの山の手の、とある小さな家に偶然落ち合って、しかも、まだ互に名乗なのかわした事がないので、身分も、素性すじょうも、経歴も分らない外国婦人の力をりて
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある者は名乗なのりをあげ、また或る者は、傷を負い、卑怯の名をうけ、勇者のほまれをちとり——そして、よく見れば、人間個々が、永世にかけての、奇異なる運命を作っているのでもあった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう云えば今ダッドレーと云ったときその言葉の内に何となく力がこもって、あたかもおのれの家名でも名乗なのったごとくに感ぜらるる。余は息をらして両人ふたりを注視する。女はなお説明をつづける。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこで金太郎きんたろう坂田金時さかたのきんとき名乗なのって、頼光らいこう家来けらいになりました。そして大きくなると、えらいおさむらいになって、渡辺綱わたなべのつな卜部季武うらべのすえたけ碓井貞光うすいのさだみつといっしょに、頼光らいこうの四天王てんのうばれるようになりました。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
意外な名乗なの
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)