単純たんじゅん)” の例文
旧字:單純
物見遊山ものみゆさんもうしてもそれはいたって単純たんじゅんなもので、普通ふつうはお花見はなみ汐干狩しおひがり神社仏閣詣じんじゃぶっかくもうで……そんなこと只今ただいまたいした相違そういもないでしょうが
日の若い単純たんじゅんも、複雑な今日も、根本こんぽんの人情に差違はない。唯真故新ただしんゆえにしん、古い芸術も新しい耳によく解せられるのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
だから苦痛くつう軽蔑けいべつしたり、何事なにごとにもおどろかんなどとっていられる。それははなは単純たんじゅん原因げんいんるのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ああ、なんでも単純たんじゅんかぎる。単純たんじゅんで、素朴そぼくなものは、きよらかだ。ちょうど、文明人ぶんめいじんより、原始人げんしじんのほうが、誠実せいじつで、感覚的かんかくてきで、能動的のうどうてきで、より人間にんげんらしいのとおなじだ。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆるやかな単純たんじゅん幼稚ようちな歌で、重々しいさびしげな、そして少し単調たんちょうな足どりで、決していそがずに進んでゆく——時々長い間やすんで——それからまた行方ゆくえもかまわず進み
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
と、長安ながやす老獪ろうかい弁舌べんぜつで、単純たんじゅん武芸者肌ぶげいしゃはだの一火を、たくみにおだてあげ、さてまた
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふえや、ことのような、単純たんじゅん楽器がっきでは、どうすることもできないけれど、オルガンのように、複雑ふくざつ楽器がっきになったら、なんとかして、その目的もくてきたっせられは、しないかということをかんがえたのです。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
れいちゃんは、いったい、単純たんじゅんなものがきね。」
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)