加里カリ)” の例文
ドクトルは其後そのあとにらめてゐたが、匆卒ゆきなりブローミウム加里カリびんるよりはやく、發矢はつしばか其處そこなげつける、びん微塵みぢん粉碎ふんさいしてしまふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
……もッとも、その時分には、まだ、青酸加里カリというものが、一般に知られていなかったというんですが。……それにしてもねえ、随分。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
貝殻の主成分は、もちろん炭酸カルシウムであって、加里カリ燐酸塩りんさんえんも、少しはいっているが、それはごく微量である。
貝鍋の歌 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
第一に、ピストルも青酸加里カリも使えない。ビルディングで活躍することも出来ない。時間の問題にしても、ゴーンと鳴る鐘の音にしか頼るべきものがない。
草を取つたり、中耕は年に五六回位で、施肥せひは、一ヘクタールあたり、窒素が三十キロ、憐酸四十キロ、加里カリが五十キロ位を標準としまして、隔年に施肥するわけでございます。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
底の平たい硝子ガラスの皿に二十プロセントの硝酸を入れ、その中へ水銀の球滴をたらし、皿の一端に重クロム酸加里カリの結晶を浸しますと、その結晶が段々溶けて、皿の底面に沿って拡散して行き
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
むこうは安山岩あんざんがん集塊岩しゅうかいがん、こっちは流紋凝灰岩です。石灰せっかい加里カリ植物養料しょくぶつようりょうがずうっと少いのです。ここにはとても杉なんかそだたないのです。〕うしろでふんふんうなずいているのは藤原清作ふじわらせいさくだ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ところで、人間の手によって改善を加えられない、もっと野生のままの原野に自然が作り出す収穫の価値は誰が計るのだろうか? 英国乾草の収穫は克明に量られ、水分も珪酸塩も加里カリも計算される。
「左様、二ツ。歌川多門氏とお加代さん。然し企らみの行われましたところは、この一劃です。つまり御二方ともに、食物に混入された毒物によりますもので、お加代さんは青酸加里カリ、歌川多門氏はモルヒネによって殺害されました」
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ドクトルはそのあとにらめていたが、ゆきなりブローミウム加里カリびんるよりはやく、発矢はっしとばかりそこになげつける、びん微塵みじん粉砕ふんさいしてしまう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
もともと澱粉は炭酸ガスと水とから出来たものであるから、その中には窒素だの加里カリだの燐だのという肥料の大切な元素ははいっていないわけである。
稲の一日 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「アッ、まだ青酸加里カリを持って居たのか」
死の予告 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
すると丁度ちやうどハヾトフもブローミウム加里カリびんたづさへてつてた。アンドレイ、エヒミチはおもさうに、つらさうにおこしてこしけ、長椅子ながいすうへ兩手りやうて突張つツぱる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
すると丁度ちょうどハバトフもブローミウム加里カリびんたずさえてってた。アンドレイ、エヒミチはおもそうに、つらそうにおこしてこしけ、長椅子ながいすうえ両手りょうて突張つッぱる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
で、ハバトフは訪問ほうもんをするたびに、きっとブローミウム加里カリはいったびんと、大黄だいおう丸薬がんやくとをってる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
で、ハヾトフは訪問はうもんをするたびに、屹度きつとブローミウム加里カリはひつたびんと、大黄だいおう丸藥ぐわんやくとをつてる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)