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功果
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こうくわ
消防の
群集は
殆んど
皮膚を
燒かれるやうな
熱さを
怖れて
段々遠ざかつた。
小さな
喞筒は
其熾な
焔の
前に
只一
條の
細い
短い
彎曲した
白い
線を
描くのみで
何の
功果も
見えなかつた。
卯平は
慌てて
再び
茶碗を
落した。
彼は
突然與吉を
傍に
掻き
退けた。
彼はさうして
無意識に
火に
成つた
落葉を
掻き
出さうとして、
自由を
失うた
手の
鈍い
運動が
其の
火を
消すに
何の
功果もなかつた。