つるぎ)” の例文
我汝に誓ひて曰はむ(願はくはわれ高きに達するをえんことを)、汝等の尊き一族やからは財布とつるぎにおけるほまれの飾を失はず 一二七—一二九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
息はり、おもて打蒼うちあをみて、そのそでよりはつるぎいださんか、その心よりはゑみいださんか、と胸跳むねをどらせて片時へんじも苦く待つなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
唯〻つるぎに切らん影もなく、弓もて射んまともなき心の敵に向ひて、そもいくその苦戰をなせしやは、父上、此の顏容かほかたちのやつれたるにて御推量下されたし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
彼はただ薄暗い中にその日暮しの生活をしていた。言わば刃のこぼれてしまった細いつるぎを杖にしながら
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
かれここにおのもおのも天の安の河を中に置きてうけふ時に、天照らす大御神まづ建速須佐の男の命のかせる十拳とつかつるぎを乞ひわたして、三段みきだに打ち折りて、ぬなとももゆらに一〇
つるぎれてかれたり
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
つるぎを持つ者
秋の瞳 (新字旧仮名) / 八木重吉(著)
あゝサウルよ、汝の己がつるぎに伏してジェルボエ(この山この後雨露あめつゆをしらざりき)に死せるさまさながらにこゝに見ゆ 四〇—四二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
朝夕みゝにせしものは名ある武士が先陣拔懸ぬけがけのほまれれある功名談こうみやうばなしにあらざれば、弓箭甲冑の故實こじつもとどりれし幼時よりつるぎの光、ゆづるの響の裡に人と爲りて、浮きたる世の雜事ざれごとは刀のつかの塵程も知らず
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
この天皇、御年五十七歳いそぢあまりななつ、御陵はつるぎいけなかをかの上にあり。
昔はつるぎをもて戰鬪いくさをする習ひなりしに、今はかの慈悲深き父が誰にもいなみ給はぬ麺麭パンをばこゝかしこより奪ひて戰ふ 一二七—一二九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ダンテよ、ヴィルジリオ去れりとて今泣くなかれ今泣くなかれ、それよりほかのつるぎに刺されて汝泣かざるをえざればなり。 五五—五七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そも/\天上のつるぎたるや、斬るに當りていそがずおくれじ、たゞ望みつゝまたは恐れつゝそを待つ者にかゝる事ありと見ゆるのみ 一六—一八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
善き師曰ひけるは、手につるぎを執りて三者みたりにさきだち、あたかも王者わうじやのごとき者をみよ 八五—八七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
めしひの牡牛は盲のこひつじよりもく倒る、ひとつつるぎいつにまさりて切味きれあぢよきことしば/\是あり 七〇—七二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)