出窓でまど)” の例文
二階の出窓でまどにはあざやかに朝日の光が当っている。その向うには三階建の赤煉瓦あかれんがにかすかなこけの生えた、逆光線の家が聳えている。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
時ありて出窓でまどの下を過ぐるときは、隧道すゐだうの中を行くが如し。だ黒烟の戸窓とまどより溢れて、壁に沿ひて上るを見るのみ。
そのうち、かうばしいやうな、とほくで……海藻かいさうをあぶるやうなにほひつたはる。にほひ可厭いやではないが、すこしうつたうしい。出窓でまどけた。おゝ、る/\、さかんしろい。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
出窓でまどえんひじけて、するりとからだもちちあげると、如何いかにも器用きよういた草履ぞうり右手みぎてぎながら、こしの三尺帯じゃくおびへはさんで、ねこのように青畳あおだたみうえったのは、三年前ねんまえいえたまま
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
真夜中の出窓でまどでて
悲しき玩具 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
清らなる出窓でまどのしたを
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
八幡樣はちまんさまうらわたようとおもつて、見當けんたう取違とりちがへて、あちらこちらうらとほるうちに、ざんざりにつてた、ところがね、格子かうしさきへつて、雨宿あまやどりをして、出窓でまどから
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)