“冷笑（れいしょう）” の例文
「おちぶれても踊（おど）っているなんて、のんきなものですね。」と、こちらのすみで、すずりと筆立（ふでた）てが、あちらの人形（にんぎょう）を見（み）て冷笑（れいしょう）していました。
三つのお人形 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)
初（はじ）めちょっと彼（かれ）には前院長（ぜんいんちょう）に気（き）が付（つ）かぬようであったがやがてそれと見（み）て、その寐惚顔（ねぼけがお）には忽（たちま）ち冷笑（れいしょう）が浮（うか）んだので。
六号室 (新字新仮名) ／ アントン・チェーホフ(著)
「ヘエ」と、みんなバカにしたような面（つら）がまえで、熊蔵のことばを冷笑（れいしょう）した。
神州天馬侠 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
芳輔はこういわれてすこし父をあなどるような冷笑（れいしょう）を目に浮（う）かべる。
老獣医 (新字新仮名) ／ 伊藤左千夫(著)
竊（ひそか）に冷笑（れいしょう）したるも謂（いわ）れなきにあらず。
瘠我慢の説：02 瘠我慢の説 (新字新仮名) ／ 福沢諭吉(著)
とドノバンは冷笑（れいしょう）した。
少年連盟 (新字新仮名) ／ 佐藤紅緑(著)
「おれが魔法使（まほうつか）いのことを知（し）らないか、ばかどもめが……。」といって、冷笑（れいしょう）していました。
おけらになった話 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)
『では一つ哲学（てつがく）の議論（ぎろん）でもお遣（や）んなさい。』と、イワン、デミトリチは冷笑（れいしょう）する。
六号室 (新字新仮名) ／ アントン・チェーホフ(著)
「うぬぼれてはいけない。おまえたちぐらいの葉（は）は、この山（やま）にざらにあるじゃないか。人間（にんげん）どもは、俺（おれ）の姿（すがた）を値打（ねう）ちにしようと思（おも）っているのだ。」と、幹（みき）は葉（は）を冷笑（れいしょう）しました。
葉と幹 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)
院長（いんちょう）はその側（そば）に腰（こし）を掛（か）けて、頭（かしら）を垂（た）れて、じっとして心細（こころぼそ）いような、悲（かな）しいような様子（ようす）で顔（かお）を赤（あか）くしている。ハバトフは肩（かた）を縮（ちぢ）めて冷笑（れいしょう）し、ニキタと見合（みあ）う。ニキタも同（おな）じく肩（かた）を縮（ちぢ）める。
六号室 (新字新仮名) ／ アントン・チェーホフ(著)
若（わか）い、一本（ぽん）のすぎが、つたとはちの話（はなし）をしているのを冷笑（れいしょう）しました。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)
と、孝二（こうじ）が、冷笑（れいしょう）しました。
生きぬく力 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)