僧形そうぎやう)” の例文
驚きながら見れば、二人共僧形そうぎやう不似合ふにあひ脇差わきざしを左の手に持つてゐる。五郎兵衛はがた/\震えて、返事もせず、身動きもしない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ちやうど心の清い尼さんが僧形そうぎやうをした貪婪どんらんの惡魔の前にゐるかと思はれるのである。
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
さらば、左衛門、僧形そうぎやうに改めて、袈裟どのゝ菩提のため、諸國修業に出る前に、もう一度訪ねて來よう。異樣の姿が、人に見とがめられぬやうに、夜が明けぬ裡に、行かう。さらばぢや。
袈裟の良人 (旧字旧仮名) / 菊池寛(著)
まへ案山子かゝしどもを、よこかすめて、一息ひといきけて、いきなりきざはし飛附とびついて、ると、さても、つたわ、たわ。僧形そうぎやうえたりたけの人数にんずは、それこれおなじやうな案山子かゝし数々かず/\
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その容子ようすをぢろぢろ眺めながら、古法衣ふるごろもの袖をかきつくろつて、無愛想なおとがひをそらせてゐる、背の低い僧形そうぎやう惟然坊ゐねんばうで、これは色の浅黒い、剛愎がうふくさうな支考しかうと肩をならべて、木節の向うに坐つてゐた。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
(定重は奧へゆかんとする時、奧より佐々木高綱は頭髻もとどりを切りたる有髮うはつ僧形そうぎやう。直垂の袴をくゝりて脛巾はゞきをはきたる旅姿にて笠を持ち出づ。あとより薄衣、與一、六郎、小萬等は打しをれて送り出づ。)
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「おや、あの僧形そうぎやうのものは、なんだね?」と顎でしやくつた。
富嶽百景 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
うつくしくあをざめた僧形そうぎやうのばらの花
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
しばらくすると出て来て、「お前も頭をるのだ」と云つた。格之助は別に驚きもせず、連れられて這入つた。親子が僧形そうぎやうになつて、麻の衣を着て寺を出たのは、二十三日のあけ六つ頃であつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かくれふしてゆく僧形そうぎやうのばらの花
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
僧形そうぎやうのばらの花
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)