づけ)” の例文
御母さんは束髪の流行はやる今の世に、昔風のまげを四日目四日目にきっとう女で、自分の子を喜いちゃん喜いちゃんと、いつでも、ちゃんづけにして呼んでいる。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いいさまづさせて見てくれろとて氷袋の口を開いて水をしぼり出す手振りの無器用さ、雪や少しはお解りか、兄様にいさんつむりを冷して下さるのですよとて、母の親心づけれども何の事とも聞分ききわけぬと覚しく
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あじきなく暮らすうちみち産声うぶごえうるわしく玉のような女の子、たつと名づけられしはあの花漬はなづけ売りなりと、これも昔は伊勢いせ参宮の御利益ごりやくすいという事覚えられしらしき宿屋の親爺おやじが物語に珠運も木像ならず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
歎願たんぐわんせしに最早もはや罪科ざいくわきはま御所刑おしおきづけへ老中方の判もすわりたり今少し早くば致方もあるべきに今更是非なしとの事なれば吉右衞門平兵衞共に途方とはう寥々すご/\と歸りしが吉右衞門は如何程いかほど金子入用にても何卒喜八を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)