仇討かたきうち)” の例文
ある大学生が国史科の教授に「先生、赤穂義士の仇討かたきうちといふのは一体京都であつた事なんですか、それとも東京なんですか」
価値ねうちに構わず二百両でも三百両でも金子をほうり出して其の刀を取上げてしまう、跡へ若旦那とお嬢さんが踏込ふんごんでくという仇討かたきうちののっけの案内がお前だよ
その後で、「仇討かたきうちだッ。」と、岩山の砲台が、射ち出したが、気の毒だが敵弾は、二万米しかとどかないのだ。みんな海の中へ落ちて、白い水柱を立てるばかりである。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
仇討かたきうち襤褸錦つづれのにしき」の芝居でみる大晏寺堤だいあんじづつみの場という形で、彼は抜足をして蒲鉾小屋へ忍び寄った。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「あいつはかたきだよ。御母おっかさんにも御前にも讐だよ。骨をにしても仇討かたきうちをしなくっちゃ」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
次ぎは直ぐ仇討かたきうちの幕になった。狭い舞台にせゝこましく槍をしごいたり眉尖刀なぎなたを振ったり刀を振り廻したりする人形が入り乱れた。唐木からき政右衛門まさえもんが二刀を揮って目ざましく働く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
きっと命中あたる! 私も世界を廻るうちに、魔の睫毛一毫の秒に、へた基督キリストの像の目を三度射た、(ほほほ、)と笑って、(腹切、浅野、内蔵之助くらのすけ——仇討かたきうちは……おお可厭いやだけれど、 ...
「ふウむ……だいぶ話が面白そうだ。じゃあ一角、貴公は仇討かたきうちにでも出ているのか?」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そいつを詳しく話してくれ。お柳の仇討かたきうちが、とんだ早く出来るかも知れない」
「助けた? ケッ、笑わせるねえ。お京の仇討かたきうちだ。覚悟しやがれ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
かたきと心得仇討かたきうちよばはりなどいたさば容易ならざる事に成行なりゆき申べく一ツには右富右衞門と申者は主人も平常つね/″\より格別かくべつ懇意こんいに仕つり居極々手堅き人に候へば勿々なか/\今度このたびの儀など爲出しいだすべき人物に御座なくと存じひそかに私しが取隱とりかくし置たりと云にぞ伊奈殿如何樣夫も道理もつともわけ聞屆きゝとゞけたり追々おひ/\吟味ぎんみに及ぶと申され其日は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
全くあにあね仇討かたきうちに相違ないことが分り、花車は再び江戸へ引返し、惣吉は十六歳の時に名主役となり、惣右衞門の名を相続いたし、多助を後見といたしました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「参謀長、フーラー博士も今度は仇討かたきうちだから、うんとあばれるぞ。」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
「なんでもあの人達は仇討かたきうちに出ているんだそうでございます」
半七捕物帳:04 湯屋の二階 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
倫敦ロンドン仇討かたきうち12・9(夕)
へい親父の仇討かたきうちが致しとうございますが、何を申しますにも相手は立派なお侍様でございますから、どう致しても剣術を知りませんでは親の仇討は出来ませんゆえ