交代こうたい)” の例文
夜はつめたいいその岩かげに組んだ小屋にねる。だが、そのあいださえ、羅刹らせつのような手下は、交代こうたい見張みはっているのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平たく言えば早すぎるのやおそすぎるのがいろいろに錯綜さくそう交代こうたいして来るわけである。それにかかわらず平均の間隔はやはりTである事はもちろんである。
電車の混雑について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
このやま近時きんじ淺間山あさまやま交代こうたい活動かつどうするかたむきをつてゐるが、降灰こうはひのために時々とき/″\災害さいがい桑園そうえんおよぼし、養蠶上ようさんじよう損害そんがいかうむらしめるので、土地とちひと迷惑めいわくがられてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かくて當日このひは、二十ちかすゝんでれたので、よる鐵車てつしやをばいち大樹だいじゆ下蔭したかげとゞめて、終夜しうや篝火かゞりびき、二人ふたりづゝ交代こうたいねむつもりであつたが、いかさけ猛獸まうじうこゑさまたげられて
「今晩はいやに交代こうたいの時間が長いような気がしますね、中尉殿」
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
が、自らぎょっとして、横の、頑丈極まる格子組こうしぐみの方を、うかがうように振り向いた。そこの境にはいつも番の武士が交代こうたいで付いているからだった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、そとには、まえにもいったとおり、二つの洞門どうもんがあって、配下の野武士のぶしが五人ずつ交代こうたいで、篝火かがりびをたきながら夜どおし見はりをしている厳重げんじゅうさである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっとも交代こうたいで朝食へ退がってはまた席にかえっていたので、彼もそれで立ったものと思われていたが、が高くなっても、ひるちかくなっても、戻って来ないので
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)