五分ごふん)” の例文
五分ごふんの後病症はインフルエンザときまつた。今夜頓服とんぷくを飲んで、成るかぜあたらない様にしろと云ふ注意である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
五分ごふんあればにあひませう。」其處そこで、べつ赤帽君あかばうくん手透てすきるのを一人ひとりたのんで、そのぶん切符きつぷことづけた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれども、五分ごふんひまさへあればおつとはなされる事を、今日けふ迄それなりにてあるのは、三千代のはらなかに、何だかはなにくあるわだかまりがあるからだと思はずにはゐられなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ほとんど、五分ごふん六分ろつぷんきに搖返ゆりかへ地震ぢしんおそれ、またけ、はかなく燒出やけだされた人々ひと/″\などが、おもひおもひに、急難きふなん危厄きやくげのびた、四谷見附よつやみつけそと、新公園しんこうゑん内外うちそと幾千萬いくせんまん群集ぐんしふ
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
五分ごふんばかりは無事であったが、しばらくすると、いつのにやら、黒い眼はページを離れて、筋違すじかい日脚ひあしの伸びた障子しょうじさんを見詰めている。——四五日藤尾にわぬ、きっと何とか思っているに違ない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)