中田圃なかたんぼ)” の例文
落し娘兩人は苦界へしづみ夫のみ成らで其身まで此世のえにし淺草なる此中田圃なかたんぼの露と共にきえて行身のあはれさはたとふるものぞなかりける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いゑいゑねえさんの繁昌はんじようするやうにと私がぐはんをかけたのなれば、参らねば気が済まぬ、お賽銭さいせん下され行つて来ますと家を駆け出して、中田圃なかたんぼ稲荷いなり鰐口わにぐちならして手を合せ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
浅草中田圃なかたんぼの、妹とふたり侘び住んでゐる浪人宝生栄之丞宅の格子戸の前へ、烈しい日の光りを浴びながら案内を乞ふてゐる、四十がらみの、スーツと背の高い、垢抜あかぬけのした男は、吉原名題の幇間
吉原百人斬り (新字旧仮名) / 正岡容(著)
武州小手塚村無宿一名早乘事三次三十七歳 其方所々しよ/\に於て小盜こぬすみ致し其上麹町三丁目町醫村井長庵に同意爲し淺草中田圃なかたんぼに於て三州藤川在岩井村百姓十兵衞後家ごけやす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
賽錢さいせんくだされつてますといへして、中田圃なかたんぼ稻荷いなり鰐口わにぐちならしてあはせ、ねがひはなにきもかへりもくびうなだれて畔道あぜみちづたひかへ美登利みどり姿すがた、それととほくよりこゑをかけ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おく舍弟おとゝ十兵衞をしばふだつじにて殺害せつがいし同人の娘を賣りし身の代金しろきん五十兩を奪ひとり其妻そのつまを三次と云る同氣どうきあひもとむる惡漢わるものゆだね淺草の中田圃なかたんぼにて殺害させ其上伊勢屋五兵衞の養子やうし千太郎に小夜衣さよぎぬ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)