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をんせんば
温泉場に
普請でも
有る
時には、
下手な
大工の
真似もする。
閑な
日には
鰌を
掬つて
暮すだが、
祖父殿は、
繁昌での、
藩主様さ
奥御殿の、お
雛様も
拵へさしたと……
腰をだに
掛くる所もなく、唯両脚を以て
躰を
支へて
蹲踞するのみ、躰上に
毛氈と油紙とを
被れども
何等の
効もなし、人夫に
至りては
饅頭笠既に初日の
温泉塲に於て
破れ
須原峠を
越え
湯の
小屋に
至り泊す、
温泉塲一ヶ所あり、其宿の主人は夫婦共に
偶他業して
在らず、唯浴客数人あるのみ、浴客一行の為めに
米を
炊ぎ
汁を
煮且つ寝衣をも
貸与す