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みとゞ
二日——
此の
日正午のころ、
麹町の
火は
一度消えた。
立派に
消口を
取つたのを
見屆けた
人があつて、もう
大丈夫と
言ふ
端に、
待構へたのが
皆歸支度をする。
家内も
風呂敷包を
提げて
駈け
戻つた。
阿蘇の
靈地からは
火の
玉が
三つ
飛び
出たともいひ、また
性空上人は
霧島の
頂上に
參籠して
神體を
見屆けたといふ。それによれば
周圍三丈、
長さ
十餘丈、
角は
枯木の
如く、
眼は
日月の
如き
大蛇なりきと。
見樣と思ふ中其浪人は
日暮なれば
仕舞て歸る
樣子なれども
蟲の知らせしか文右衞門に
違ひなしとこゝろへ夫より
後を
尾て
見屆けしに山崎町の
乞丐頭長屋へ
這入しかば其所を