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とほりぬ
部屋は
四疊敷けた。
薄暗い
縱に
長い
一室、
兩方が
襖で
何室も
他の
座敷へ
出入が
出來る。
詰り
奧の
方から
一方の
襖を
開けて、
一方の
襖から
玄關へ
通拔けられるのであつた。
第一、
身に
着いた
絲の、
玩弄具の
鳥が、
彳んだものを、
向うへ
通拔ける
數はない。
例の
下を
向いて
悠々と
小取廻に
通抜ける
旅僧は、
誰も
袖を
曳かなかつたから、
幸其後に
跟いて
町へ
入つて、
吻といふ
息を
吐いた。
いゝえ、さうしてあけて
置かないと、お
客様が
通つても
橋銭を
置いて
行つてくれません。づるいからね、
引籠つて
誰も
見て
居ないと、そゝくさ
通抜けてしまひますもの。