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さうなん
其頃歐羅巴の
諸新聞は
筆を
揃へて、
弦月丸の
遭難を
詳報し、かの
臆病なる
船長等の
振舞をば
痛く
攻撃すると
共に『
日本人の
魂。』なんかと
標題を
置いて
一行が
遭難の
日は、
學校に
例として、
食饌を
備へるさうです。
丁度其の
夜に
當つたのです。
呼出し其
來歴或は
遭難の
始末等逐一尋られたるに傳吉與惣次の口と
符合なしければ尚
尋ねられたるに源次郎夫は
其處より上の方三里
程隔てし所に男女の死體ありとの風聞
其邊の
夫婦の者の由其
頃噂さ仕つりしなり大岡殿其方は其の
邊にて傳吉と云へる者に
逢しと申が傳吉方へ
尋ねたるや源次郎成程傳吉は
斯る
物語に
不知不測夜を
更し、
頓て
私の
遭難實談も
終ると、
櫻木大佐は、
此時稍や
面を
改めて
私に
向つた。