尊敬そんけい)” の例文
アッカはみんなからたいへん尊敬そんけいされている鳥で、どんなに、りっぱなガンでも、アッカの言いつけにはしたがうほどだったのです。
それは勿論もちろん、これは我々われわれだけのはなしだが、かれあま尊敬そんけいをすべき人格じんかくおとこではいが、じゅつけてはまたなかなかあなどられんとおもう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
およそ、戦国のには、神ほど尊敬そんけいされたものはなく、神の力、神の法ほど、うごかすことのできないものと、しんじられたものはなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「きみはぼくの父親や母親のことをそんなふうに言っているが、ぼくはやはりあの人たちを尊敬そんけいしなければならない。あいさなければならない」
大森おほもり貝塚かひづかは、人類學研究者じんるゐがくけんきうしやから、もつと神聖しんせいなるとして尊敬そんけいせられてる。此所こゝ本邦ほんぽう最初さいしよ發見はつけんせられた石器時代せききじだい遺跡ゐせきであるからだ。
じんとりをするときでも、かくれんぼをするときでも、いっしょに遊ぶのです。安雄さんは小さい友だちから、とくべつに尊敬そんけいされていました。
かぶと虫 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
そしてあらためて征夷大将軍せいいたいしょうぐんというやくにおつけになりました。みんなはそれからのち田村麻呂たむらまろ田村将軍たむらしょうぐんというをつけて、尊敬そんけいするようになりました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこに盲目まうもく尊敬そんけいしやうずる。盲目まうもく尊敬そんけいでは、たま/\それをさしける對象たいしやう正鵠せいこくてゐても、なんにもならぬのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
されば全校の気風は勇気にとみ、また慈愛じあいと友情にあつく、年長者は年少者を、弟のごとく保護ほごし、年少者はまた、年長者を兄のごとく尊敬そんけいする。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
日露戦争にちろせんそうに勝って、「日本強し」の声こそしていたが、そのころはまだ、日本人はあまり尊敬そんけいされていなかった。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
ひとから尊敬そんけいされるとそれに感じ易い老人ろうじんの方は、ことにそうだった。二人はルイザがそばで顔を真赤まっかにするほどひどい常談じょうだんあびせかけて、それで満足まんぞくした。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
そうだ、用水池ようすいいけつくって、むら旱魃かんばつからすくった、ごろみんなの尊敬そんけいしているひとでした。老人ろうじんはいいました。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
勤め人々尊敬そんけいすればとて慢心増長なせしかもしが答を爲ば不便や其方切腹せねば成まじたゞ聞流きゝながしにして遣さんに篤と勘考かんかうすべしとて悠然と控へければやがて常樂院を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
柿本人麿かきのもとのひとまろは、平安朝へいあんちようすゑになると、神樣かみさまとしてまつられるほど尊敬そんけいをうけるようになりました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
一を business と名付なづけて、もちろん自由業は高尚こうしょうなものとなし、これに従事している者には社会も相応の尊敬そんけいを払って、あるいは官吏かんりあるいは弁護士、教育家
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
されば先生は常にはかまをも着せず、一書生いちしょせい風体ふうたいなるにかかわらず、予が家の婢僕等ひぼくら尊敬そんけいして、呼ぶに先生を以てし、門番もんばん、先生を見ればにわかに衣をまといてその裸体らたいおおいてれいせり。
ねんねんゆめぎ、未亡人びぼうじん操行さうかうくわんして誰一人たれひとり陰口かげぐちものもなかつた。まづしくはあつたけれど彼女かのぢよ家柄いへがらもよかつたので、多少たせう尊敬そんけい心持こゝろもちもくはへて人々ひと/″\彼女かのぢよ信用しんようした。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
しかし事情は変化して外から見るほどの作用はなかったかも知れぬ。それでも敗戦後戦時中の法制局長官は、当然とうぜんにパージにされたことを考えると、一種の迷信的尊敬そんけいがあったかも知れぬ。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
となり村のある家などでは、四人あった息子が四人とも戦死して、四つの名誉めいよのしるしはその家の門にずらりとならんでいた。大吉たちは、どんなにか尊敬そんけいの目でそれをあおぎ見たことだろう。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
老齡ろうれい力の衰頽すいたいと、これはかなしい事に如何ともしかたいものだからだ。ぼくは出でてたゝかはざる如き棋士きしは如何なる力ありとも到底とうてい尊敬そんけい出來ぬが、その意味いみでは小菅おうことばに同かんあたはぬでもない。
ちょっとへんに思われるかもしれませんが、じつをいうと、ニールスはこの年とったアッカにたいしては、尊敬そんけいた気もちを持っていました。
はじめは恐怖きょうふがわたしをかれから遠ざけたけれど、このごろはなんとは知れないが、ぼんやりと、いわば尊敬そんけい感情かんじょうがかれとわたしをへだてていた。
だから、それをたくさんっているものほど、むら人々ひとびと尊敬そんけいせられ、おそれられたりしていたのであります。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分じぶんをばみち疎遠そゑんひとだと諦念あきらめ、べつみち親密しんみつひとがゐるやうにおもつて、それを尊敬そんけいするひとがある。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
かれは白皙人はくせきじんも黄色人も黒人も、人間はすべて同一の自由と権利けんりをもち、おたがいにそれを尊敬そんけいせねばならぬと信じている。世界の人種は平等びょうどうである、人種によって待遇たいぐうを別にしてはならぬ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
れは勿論もちろんこれ我々丈われ/\だけはなしだが、かれあま尊敬そんけいをすべき人格じんかくをとこではいが、じゆつけてはまたなか/\あなどられんとおもふ。でねがはくはだ、きみ何卒どうぞ一つ充分じゆうぶんかれしんじて、療治れうぢせん一にしていたゞきたい。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わたしたちはおたがいに尊敬そんけいし合った。わたしは背嚢はいのうのふたをめると、マチアが代わってそれをかたにのせた。
やさしいおくさまがありました。あわれなひとたちには、なぐさめてやり、また、まずしいひとたちには、めぐんでやりましたから、みんなから、尊敬そんけいされていました。
奥さまと女乞食 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ですから、この巨人きょじんは、ブレーキンゲの人たちから大いに感謝かんしゃされ、尊敬そんけいされてもいいわけです。
自分じぶんのわからぬもの、會得ゑとくすることの出來できぬものを尊敬そんけいすることになる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
日本から招聘しょうへいせられた工学者で、この島へきてからもはや、二十年の月日はすぎた、かれは温厚おんこうのひとでかつ義侠心ぎきょうしんが強いところから、日本を代表する名誉めいよ紳士しんしとして、一般の尊敬そんけいをうけている。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
同時に親方に持つ尊敬そんけいと、ミリガン夫人ふじんとその病身の子どもに対して持つ愛着あいちゃくとは比較にはならなかった。
この年老としとったさるは、この近傍きんぼうやまや、もりにすむ、獣物けものや、とりたちから尊敬そんけいされていました。それは、このやま生活せいかつたいして、おおくの経験けいけんっていたためです。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それでも、あなたは勇敢ゆうかんひとだ、よくここまでおよいでこられたものだ。」と、おとうさんはその外国人がいこくじん尊敬そんけいしました。外国人がいこくじんも、またおとうさんにしたしみました。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
婦人ふじんは、なぜはやくそれをらなかったろう。そうすれば、こんなにながあいだ、このやまいくるしまなくってもよかったのにと、きゅうに、もしない、その医者いしゃこころうち尊敬そんけいしました。
世の中のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、がたつにつれて、そのひとにたいする尊敬そんけいの、だんだんたかまるのがわかりました。
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分じぶんは、いつまでもむかしの百しょうで、みんなといっしょになってはたらいて、みんなと苦楽くらくともにしましたから、むらひとたちからも、恩人おんじんしたわれて、たいへん尊敬そんけいされたのであります。
武ちゃんと昔話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それだけでなく、かれは、てきあって、たたかわなければならないときも、自分じぶん相手あいてのいちばんつよいやつをひきうけるというふうでしたから、みんなから、尊敬そんけいされていました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おじいさんは、ただしいみちさとったばかりに、それからは、やとにんにも尊敬そんけいされ、ひとりぽっちでさびしくなく、からだがきかなくても、何不自由なにふじゆうなく、らすことができたのであります。
夏とおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
すべてがわかって、おくさまは、かりそめにも、ひとをうたがった、自分じぶんこころずかしく、すまなくかんじました。そして、あわれな母親ははおやの、やさしいこころたいして、すくなからず尊敬そんけいされたのであります。
奥さまと女乞食 (新字新仮名) / 小川未明(著)