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魑魅
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ちみ
ふりがな文庫
“
魑魅
(
ちみ
)” の例文
いや、ここへ参上いたしました私めは、
魑魅
(
ちみ
)
でもなければ、人間でもありません。ふだんあなたが大事になさる黄金の精霊です。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「
魑魅
(
ちみ
)
を
画
(
か
)
くは
易
(
やす
)
し」ではなく、お爺さんの描いた竜を毎日見ていると、本当にいてもよいような気がするほどだった。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
夜になれば無数の巨幹はさながら
魑魅
(
ちみ
)
となって人をおびやかし、星は簇葉をもれて冷たい木の実のようにみえる。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
「大丈夫鳴きます。あの鳴き声は昼でも理科大学へ聞えるくらいなんですから、深夜
闃寂
(
げきせき
)
として、
四望
(
しぼう
)
人なく、鬼気
肌
(
はだえ
)
に
逼
(
せま
)
って、
魑魅
(
ちみ
)
鼻を
衝
(
つ
)
く
際
(
さい
)
に……」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、
不斷
(
ふだん
)
だと、
魑魅
(
ちみ
)
を
消
(
け
)
す
光明
(
くわうみやう
)
で、
電燈
(
でんとう
)
を
燦
(
ぱつ
)
と
點
(
つ
)
けて、
畜生
(
ちくしやう
)
を
礫
(
つぶて
)
にして
追拂
(
おひはら
)
ふのだけれど、
此
(
こ
)
の
燈
(
あかり
)
の
覺束
(
おぼつか
)
なさは、
天井
(
てんじやう
)
から
息
(
いき
)
を
掛
(
か
)
けると
吹消
(
ふつけ
)
されさうである。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
腥風
(
せいふう
)
一陣まき起こって、とっさに二つの命の灯を吹き消し去った手練でも知れるように、魔か
魑魅
(
ちみ
)
か、きゃつよほど、腕と腹ふたつながらに完璧の巧者に相違ない。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
昔から山には
魑魅
(
ちみ
)
、水には
魍魎
(
もうりょう
)
がおると云われているが、明治二十年
比
(
ごろ
)
の事であった。
死んでいた狒狒
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
魑魅
(
ちみ
)
とか妖怪変化とかの跳躍するのはけだしこう云う闇であろうが、その中に深い
帳
(
とばり
)
を垂れ、屏風や襖を幾重にも囲って住んでいた女と云うのも、やはりその魑魅の
眷属
(
けんぞく
)
ではなかったか。
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
僕の同棲者の
魑魅
(
ちみ
)
子は寝台に寝ころんで、華やかにひらいた
脣
(
くちびる
)
から吐き出すレイマンの匂いで部屋中にエロテイィクな緑色の
靄
(
もや
)
をつくりながら、僕のいつもの恋愛のテクニックを眺望しているんだ。
東京ロマンティック恋愛記
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
第二種(鬼神編)鬼神、
魑魅
(
ちみ
)
、
魍魎
(
もうりょう
)
、妖神、悪魔、七福神、貧乏神
妖怪学講義:02 緒言
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
だからこれらの
魑魅
(
ちみ
)
がなす社会作用も恐るべきではあるまいか。
美しい日本の歴史
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秋の夜の目さましに、
三〇
そと見せよとて、すこしも騒ぎたる
三一
容色
(
いろめ
)
なし。翁いふ。かく参りたるは、
三二
魑魅
(
ちみ
)
にあらず人にあらず。君が
三三
かしづき給ふ
黄金
(
わうごん
)
の
精霊
(
せいれい
)
なり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「
魑魅
(
ちみ
)
を画くは
易
(
やす
)
し」などと嘯いていた支那の昔の画家は、相手が素人だと思って勝手な熱を揚げていたのかも知れない。魑魅だって内界までも入れた広い意味での自然界には実在の動物なのである。
雑魚図譜
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
椿 そのほか、
夥多
(
あまた
)
の
道陸神
(
どうろくじん
)
たち、こだますだま、
魑魅
(
ちみ
)
、
魍魎
(
もうりょう
)
。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“魑魅”の意味
《名詞》
魑魅(チミ、すだま)
霊魂やもののけなどが姿をかえたもの。すだま。
(出典:Wiktionary)
魑
漢検1級
部首:⿁
21画
魅
常用漢字
中学
部首:⿁
15画
“魑魅”で始まる語句
魑魅魍魎