首魁しゅかい)” の例文
この一条については下士の議論沸騰ふっとうしたれども、その首魁しゅかいたる者二、三名の家禄かろくを没入し、これを藩地外に放逐ほうちくして鎮静ちんせいを致したり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
いずれにしても殿下が、これらの事件の首魁しゅかいであり、主役であり、黒幕を務めていられることは、もはや一点の疑う余地もない。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
錬金術師韮崎庄平は果して間諜団の首魁しゅかいであったかどうか。新一を捉えたけだもののような穴居人はそもそも何者であったか。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
首魁しゅかいの良忠は、どうやら、捕り逃がしてしまったらしい。だが各所で、残党の兵十幾人かは捕え獲たと、道誉は、途上の篝屋かがりやの者から聞いて
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
部下の不正行為を煽動せんどうして、ますます松浦屋を窮地に落させた、いわば涜職とくしょく事件の首魁しゅかいといってもいい人物なのであった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
とにかく、陰謀の首魁しゅかいと目されている男だから、清盛の憎しみも又人一倍で、中庭に引き据えられた西光をみると
持金をことごとくまき上げた上、人知れず殺して海に沈めましたが、ガラッ八と平次に本拠を襲われたことを覚ると、首魁しゅかいの玄道は、九郎次夫婦と、蓄えた女どもを一挙に殺し
全国の警察がいま総がかりで捜索していていまだに見つからない秘密結社の首魁しゅかいが、こんなところにかくれていて、しかも、私に向かって落ちつき払って秘密を打ち開けているのだ。
動物園の一夜 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
これらが藩政を毒する中心人物で、なかんずく黒藤と仲島とがその首魁しゅかいであった。
日日平安 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
怪我人もで、死人も出た。本来なれば町奉行は、南北手を分け騒動の首魁しゅかいと、兇徒を探して狩り取るべきであったが、事件の性質が性質であり、首魁が一方は田沼主殿頭、一方が松平冬次郎。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
願わくは、越前守が、ここ数日間に、その元兇を召捕って、積年の罪府の首魁しゅかいをあきらかにいたすまで、評定所開きはお待ちしていただきたい
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは皆「恐怖王」と自称する首魁しゅかいからゴリラ男と覚しき人物に送られた、簡単な通信文であった。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
続いて安島帯刀を斬り左内を斬る……彼は崩れんとする長堤の蟻穴ありあなへ、更に自らすきをうち下ろしているんだ、彼は幕府を倒壊するためにおのを加えているんだ、彼こそはまさしく倒幕の首魁しゅかい
城中の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その中を、首魁しゅかいの浄憲法師が、素裸足すはだしのまま、院の内から縄がらめになって突き出されてきた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五十嵐博士殺害犯人、韮崎と今一人の替玉を毒殺した下手人、アメリカ人の血を受けたペリー以来の大陰謀の主、憎みても余りある売国間諜団の首魁しゅかいは君をいて外にはないのだ
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「斬るのは三首魁しゅかいだけということですか」
日日平安 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そこで辻々の篝屋へも、馬触れを廻し、相互、幾人もの死傷を出したあげく、やっとのことで、首魁しゅかいと見られる者四人を、数珠じゅずツナギとして、これを直義の前につき出した。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明智は二人の品川を間近く眺めながら、その内の一人が白蝙蝠の首魁しゅかいであることは分り切っているのに、さて、どちらをそれと定めかねて、俄かに手出しをすることが出来ないのだ。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「先夜とらえた群盗の首魁しゅかいが、大塔ご幕下ばっかの者とわかれば、なおさら以て、厳罰に付すべきで、それをゆるしなどしては、治安もくそもありません。ご粛正も空念仏に帰しまする」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ヤ、御苦労でした。大成功です。賊の首魁しゅかいが死んでしまったのは、少々残念だが、これも天罰と云うものでしょう。手下共は皆あちらの部屋に縛ってあるのですね。一網打尽いちもうだじんでしたね」
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
大賢良師張角と称していた首魁しゅかいこそ、天下に満つる乱賊の首体である。張宝は先に討たれたりといっても、その弟にすぎず、張梁なおありといっても、これもその一肢体でしかない。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして、わしはとうとうかたきを討った。わしを傷けた怪物を捕えることが出来た。こいつこそ、妖虫殺人事件の謂わば原動力であったのじゃ。併し、その片輪者が、賊の首魁しゅかいという訳ではない。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この開港場へもぐりこんで、盛んに内外人のあいだで詐欺賭博さぎとばくをやっているのであったが、出入りに巧妙な変装でもして歩くのか、首魁しゅかいの当人をどうしても捕縛することができないので
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「王子服、呉子蘭、呉碩ごせき种輯ちゅうしゅうの四人はすでに捕えて獄に下したが、そのほかにまだもう一名、不逞の首魁しゅかいが、この都のうちにおるらしい。……国舅、あなたにもお心当りはないかな?」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酢屋すやに押入った先夜の首魁しゅかい四名の者は、はや六条河原で首斬ってしまいました。いかに吟味しても、一言も吐きませぬゆえ、河原へ曳き出し、つい昨日、処分をすませたばかりなのです」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
等々の箇条を実状に照らして、それらの因をなせる謀略の首魁しゅかい勝家を討つには、まず北陸の勢が、積雪のために南下し得ぬうちに、これを果しておかねばならぬ——と、説かせたのであった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
祈祷の首魁しゅかいも文観僧正だし、また常に、みかどの帷幄いあくに隠れて、東伐とうばつの謀議にあずかり、諸山の僧兵をして、みかどの御野望にくみさせんと、策しておる黒衣こくいの軍僧こそは、文観その人である、と
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、首魁しゅかいの大賀弥四郎の陰謀は、吟味までもなく、明白であった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
首魁しゅかいの長円寺の坊主は、さすがにいかに叩いても、そらうそぶいて口をあかず、三好の残党も、泥を吐きませんので、叡山の二名を、べつにして、拷問ごうもんしてみましたところ、すべてを白状いたしました」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
首魁しゅかいの化物刑部めは、火を放って、自殺をとげました」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さては、なんじが一山の賊の首魁しゅかいか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)