ふるへ)” の例文
ハヾトフは此時このとき少計すこしばかけて室内しつないのぞいた。イワン、デミトリチは頭巾づきんかぶつて、めう眼付めつきをしたり、ふるへあがつたり、神經的しんけいてき病院服びやうゐんふくまへはしたりしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かゝさま、そのどくって使つかひをとことやらがきまったら、くすりわたし調合てうがふせう、ロミオがそれをれたら、すぐにも安眠あんみんしをるやうに。おゝ、彼奴あいつくとふるへる。
もうふるへ上つて、家へ来られちや大変だから白井さんを泊めることは出来ないと言ふんで、仕方がないから入谷のアパートに居る妻の兄の処へ行つて貰ふことにしたんです。
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
昼からかけての心のふるへは漸く薄らいだが恐怖は却つてはつきりした知覚を以て彼をおどかした。彼が拘禁された留置場は三畳の独房であつた。戸口が一つあるきりで四方は天井の高い壁で囲つてある。
逆徒 (新字旧仮名) / 平出修(著)
疲れたる、葡萄酒をふるへして
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)