青菜あおな)” の例文
別天地の小生涯しょうせいがい川辺かわべ風呂ふろ炊事場すいじばを設け、林の蔭に便所をしつらい、麻縄あさなわを張って洗濯物をし、少しの空地あきちには青菜あおなまで出来て居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
このときばかりはさすがの机博士も、よっぽどきもをひやしたと見えて、青菜あおなしおのようにげんなりしていたが、それでも、いうことだけはいい。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから、ゆきって、青菜あおなり、また川魚かわざかないたのをすったりして、こまどりのためにつくってやりました。
こまどりと酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
去年の正月ある人に呼ばれて東京一流の料亭で御馳走になったときに味わった雑煮は粟餅に松露しょうろ蓴菜じゅんさい青菜あおなや色々のものを添えた白味噌仕立てのものであったが
新年雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
折々は青菜あおなの柔い草を与えなければなりませんし、夏になると消炭けしずみを粉にして餌に混ぜて一週間に一度位与えなければなりません。消炭の粉は腹の中を掃除します。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
いて来たは空車からぐるまで、青菜あおなも、わらも乗って居はしなかったが、何故なぜか、雪の下の朝市に行くのであろうと見て取ったので、なるほど、星の消えたのも、空がよどんで居るのも
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
青菜あおなの雑炊……青菜を琅玕翡翠ろうかんひすいにして出す。生の千切りだいこん雑炊……だいこん煮込みめしに似たものの雑炊。天下のピカ一ふぐ雑炊。白魚しらうおと青菜の雑炊。若鮎わかあゆの雑炊。このわたの雑炊。
……添役、氷見役は青菜あおなに塩、どうでもこりゃ、お叱りはまぬかれない
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
おじいさんは、小鳥ことりきで、以前いぜんには、いろいろなとりった経験けいけんがありますので、ゆきしたから青菜あおなってきたり、川魚かわざかないたのをすったりして、こまどりにつくってやりました。
こまどりと酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)