附合つきあ)” の例文
先生は変人だから、もとめてだれとも交際しない。然し此方こつちで相当の機会をつくつて、接触させれば、変人なりに附合つきあつて行く。……
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その代りに中幕なかまくへ「たたられるね」というような代名詞につかわれている「緑の朝」を須磨子に猿之助が附合つきあうことになった、無論菊五郎にはめ
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それからまた、私は仲間の生徒たちの受けもよかつたし、同じ年頃の人たちにも、對等に附合つきあはれ、誰からもいぢめられたりすることもなかつた。
おつや (り寄る。)あたしがだんだん陽気になるのに、あんたはだんだん陰気になっちゃあ、お附合つきあいが出来ないじゃありませんか。ねえ、あんた。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一体下等社会の者に附合つきあうことが数寄すきで、出入りの百姓町人は無論むろん穢多えったでも乞食でも颯々さっさつと近づけて、軽蔑もしなければいやがりもせず言葉など至極しごく丁寧でした。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
天命のほどもおそろしい。世の中を、そんなになめると、いまにとんでもない事になるにきまっているのだ。おれはもう、お前たちとの附合つきあいはごめんこうむる。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
村の附合つきあいということが根になっているのだろうが、これが氏神の御心にかなって、危篤な病人を恢復かいふくさせる力になるという事を信じていなかったら、単なる社交だけでは
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
うぬが勝手に主人の金をつかやアがって言い訳がないから死ぬのだが、それに附合つきあって死ぬやつがあるものか、死んだ奴は自業自得じごうじとくだ、お前は身の上を旦那に頼んできまりを付けて仕舞って
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
マルリンクの一とも附合つきあっていると見えるね。
其頃、代助の学友に菅沼すがぬまと云ふのがあつて、代助とも平岡とも、親しく附合つきあつてゐた。三千代みちよ其妹そのいもとである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その子の母に連合つれあいがあって、生みの母の縁から深く附合つきあうようになったところ、なにしろその子の義父ちちだというので、何かと家の事へも手を出したがるし口も出すのです。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
私の性質は人に附合つきあいして愛憎あいそうのない積りで、貴賤貧富、君子も小人も平等一様、芸妓に逢うても女郎を見ても塵も埃もこれを見て何とも思わぬ。何とも思わぬから困ることもない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
町内の附合つきあいまたは組合の義理と称して、各戸総出そうでをもって行列を作り、一定の路筋みちすじを廻歴した慣習のごときも、これを個々の事変に際する協力といわんよりは、すこぶる葬礼祭礼などの方式に近く
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
馳走ちそうになれば御酒ごしゅくだされなんと云て、気の毒にも思わずただ難有ありがたいと御辞儀じぎをするばかりで、その実は人間相互あいたがいの附合つきあいと思わぬから、金銭の事についてもまたその通りでなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
附合つきあいで困ったのが通いの先生だった。