阿女あま)” の例文
その上の痴話ちわが何かにこじれて、武蔵が女を振切って去ったので、お通阿女あまは泣き声をしぼって男を呼び返しているのだろう。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しょうある、この馬鹿阿女あま——十三四にもなって赤ん坊の守も出来ねえなんてあるか。」
(新字新仮名) / 犬田卯(著)
ええい、くそつ、ソローハの阿女あまめ! なんちふ奴を袋ん中へなんぞかくまひを
「うう、こ、この阿女あま……」
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
一時は、お通の心も恨みと思うたが、今ではさらさらそんな気もない。……武蔵には知らぬこと、お通阿女あまは今も嫁のように思うているのじゃ。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「結構な身分さ、たとい芸者だろうと淫売だろうと。……こちとらの阿女あまらみてえにへっちゃぶれた顔していたんじゃ、乞食の嬶にももれえ手ねえや」と村人は唇へんを引き歪めて噂した。
一老人 (新字新仮名) / 犬田卯(著)
忌々いまいましい阿女あまだなあ。思い出すと、彼女あいつつらが天井に見えてくる。……おれをあやまらした生涯の仇は、武蔵でもねえ、お通でもねえ、あのお甲だ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まず第一に貴方あなた様、釘勘という野郎、おくめという阿女あま、お蝶という女……みんな籖引くじびきで、こちとらの仲間が、それぞれ片づけることになっております。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こらっ、お通阿女あま、なにをするか。この家で、茶をもらおうとはいったが、水をかけてくれとは誰もいわぬぞ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『この阿女あまめ、長年、御恩のあるお出入先に、何んな不埓ふらちをしやがったのか。よくも、親の面に泥を塗ったな』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いってもいってもこの阿女あまは、ろくでもねえことをしやがって、おれのいいつけを、なんだと思っていやがる」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
嘘と思うなら、叔父御にもただしてみやれ、お通阿女あまはおぬしを見かぎって、武蔵たけぞうの後を追ってんだわさ。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こう。虫も殺さねえつらをしやがって、このすべた阿女あま潘金蓮はんきんれんめ。よくもおれの兄貴をさんざん小馬鹿にしたあげく、砒霜ひそうの毒を盛って殺しゃあがったな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この阿女あまっ」不意だった。ぐわんと、鼓膜こまくがやぶれるほど、お吉の横顔をなぐりつけて呶鳴った者がある。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちッ、この阿女あまがッ……」と馬春堂、真似もできない顔をして、耳がとれるか手を離さすか、大きなたいを不器用にどたばたさせて、その胸元を食ッてかかる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「たしかにあいつだ! ちげえねい! 阿女あまめ、あんな所を、いけしゃアしゃアと通っていやがる。見ていろよ。今、この宅助が、首ッ根っこを捕まえてくれるから」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
阿女あま、何を、うまそうに、さっきから、ぴちゃぴちゃと、ねぶっているだ、俺にも、分前わけまえをよこせ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なにが、あれだ、お通阿女あま、お前のほうが、虫も殺さない顔して、その実、よほどたちが悪いぞ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この阿女あまめ。人が甘い口をきいてやればツケ上がって、おつに澄まし込んでいやがるな」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『いらないといったら、いらないよ。うるさい阿女あまたちではある』
「ひどい阿女あまもあるものだ。そして、その女は今でも、江戸に」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だ、だれが、あんな阿女あまに、未練があるものか」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なにを、阿女あまっちょめが、洒落しゃらくせえ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「えいやかましいこの阿女あまッ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お通阿女あまが逃がしたのやろ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「見ていやがれ、阿女あまめ」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よくも。——この阿女あま
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
阿女あま。わすれるなっ」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この阿女あま、この阿女」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わッ。この阿女あまめ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あっ、この阿女あま
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
阿女あまッ」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)