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長蟲
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ながむし
長蟲は
苦悶に
堪へず
蜒轉𢌞り、
遁れ
出でんと
吐き
出す
纖舌炎より
紅く、
笊の
目より
突出す
頭を
握り
持ちてぐツと
引けば、
脊骨は
頭に
附きたるまゝ、
外へ
拔出づるを
棄てて、
屍傍に
堆く
講釋師の
言ふ、
槍のつかひてに
呪はれたやうだがと、ふと
見ると、
赤煉蛇であらう、たそがれに
薄赤い、
凡そ
一間、
六尺に
餘る
長蟲が、
崖に
沿つた
納屋に
尾をかくして、
鎌首が
鷄に
迫る
最も
饗膳なりとて
珍重するは、
長蟲の
茹初なり。