釣棹つりざお)” の例文
獲物の有無ありなしでおもしろ味にかわりはないで、またこの空畚からびくをぶらさげて、あしの中を釣棹つりざおを担いだ処も、工合のい感じがするのじゃがね。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其処そこへこう陣取りまして、五六けん離れたところに、その女郎屋の主人が居る。矢張やはり同じように釣棹つりざおを沢山やって、角行燈かくあんどうをつけてたそうです。
夜釣の怪 (新字新仮名) / 池田輝方(著)
お繁の唄はもう聞えなくなった、わたしは煙草に火をつけ、えさをつけ代えるために釣棹つりざおをあげた。
お繁 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
また一人川下かわしもの方から釣棹つりざお肩に帰って来た。やまべ釣りに往ったのだ。やがてまた一人銃を負うて帰った。人夫が立迎えて、「何だ、たった一羽か」と云う。此も山鳥。先刻さっき聞いた銃声じゅうせいはてなのであろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
伊右衛門の前には釣棹つりざおが、三本が所下ろされてあった。
隠亡堀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それから、この釣棹つりざおを寄せて、一緒にして、その水の中をガバガバとまわしたんだそうです。
夜釣の怪 (新字新仮名) / 池田輝方(著)
花崗石みかげいし門柱もんばしらを並べて扉が左右に開いて居る、門の内の横手の格子こうしの前に、萌黄もえぎに塗った中に南と白で抜いたポンプがすわって、そのふち釣棹つりざおふごとがぶらりとかかって居る、まことにもの静かな
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから、何だろうかと思っていると、やがてその女郎屋の主人が、釣棹つりざお悉皆すっかりまとめて、祖父じじい背後うしろへやって来たそうです。それで、「もう早く帰ろう。」というんだそうです。
夜釣の怪 (新字新仮名) / 池田輝方(著)
釣棹つりざおを、ト肩にかけた、処士あり。年紀としのころ三十四五。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
島野はやせぎすで体も細く、釣棹つりざおという姿で洋杖ステッキを振った。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)