金剛こんごう)” の例文
それは何か巨像が金剛こんごうの信を声に発したように二人の耳朶じだを打った。はっと、ぬかずいてしまうしか他の意志のうごくすきもなかった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの金剛こんごう妙高みょうこうのように、機雷をグワーンと喰わなきゃならんで、今のところ低気圧の散るのを待たねば、艦隊は損傷が多くなるばかりじゃ。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
諸君の知っている通り、戦艦『金剛こんごう』や『榛名はるな』の装甲は八吋(二〇・三糎)だから、『最上』の方が強いわけである。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
七宝は、金・銀・瑠璃るり硨磲しゃこ碼碯めのう珊瑚さんご琥珀こはくまたは、金・銀・琉璃るり頗棃はり車渠しゃこ・瑪瑙・金剛こんごうである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あるいは観世かんぜとか金剛こんごうとかいうような能役者ではないかと、店の主人の孫十郎は鑑定していると、男は果たして店の片隅にかけてある生成なまなりの古い仮面めんに眼をつけた。
半七捕物帳:42 仮面 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
私はその夜ブダガヤの菩提樹下ぼだいじゅか金剛こんごう道場で坐禅を致しましたが実に愉快の感に堪えなかった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
能楽上の一大倶楽部クラブを起し、天下の有志を集めて依怙贔屓えこひいきなく金春こんぱる金剛こんごう観世かんぜ宝生ほうしょう喜多きたなどいふ仕手しての五流は勿論、わきの諸流も笛、つづみ、太鼓などの囃子方に至るまで
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
もし工事中に、これらの者の家郷かきょうに不幸があった場合には、さっそく本人を小屋から出したのち、金剛こんごう普賢ふげん両院の山伏をまねいて、そのあとを払いきよめることになっていた。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しかもその一人が、日本能楽の始祖の母だったという一構想に立ちうれば、私の文学的想像の野も、千早ちはや金剛こんごう、湊川だけのものではなくなって来る。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武装隊を指揮しているのは金剛こんごう部長だったが、ヌックと立って部下に号令した。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
戦艦『長門ながと』『陸奥むつ』『日向ひゅうが』『伊勢いせ』『山城やましろ』『扶桑ふそう』『榛名はるな』『金剛こんごう』『霧島きりしま』。『比叡ひえい』も水雷戦隊にかこまれているぞ。『山城』『扶桑』は大改造したので、すっかり形が変っている。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
それも道理、アジア艦隊との一戦に、残念にも妙高みょうこう金剛こんごうとを喪い、外に駆逐艦と飛行機を少々、たっとい犠牲とすることによって、どうやら、アジア艦隊の始末をつけることが出来たのであった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
金剛こんごう、中村、多門たもん武辻たけつじ
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)