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すさ
おつぎは
後へ
退去つた。おつぎは
殆んど
無意識に
土手を
南へ
走つた。
處々誰かゞ
道芝の
葉を
縛り
合せて
置いたので、おつぎは
幾度かそれへ
爪先を
引つ
掛けて
蹶いた。
おつぎが
甘えた
舌でいつても
返辭もしなかつた。
勘次も
卯平の
側を
退去つて
只恐ろしく
僻んだ
容子をして
居た。おつぎも
遂にいはなかつた。
與吉は
只ぐつすりと
眠つて
居た。
勘次は
足もとにずる/\と
横はつた
蛇を
見つけた
刹那の
如く
悚然として
退去つた。