轆轤首ろくろくび)” の例文
この「てれめん」の轆轤首ろくろくび問題は、あまりわたしの興味をかなかったが「妹背山」と「膝栗毛」とは大いにわたしを喜ばせてくれた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
中でもおんなのは変な気味合だ。轆轤首ろくろくび処女しんぞだが、畜生道は、得て眉毛まみえをおとしたのっぺりした年増だもんだな、業曬ごうさらしな。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さらにさらにある者は眉間尺みけんじゃくであり轆轤首ろくろくびであり御越入道みこしにゅうどうである事を驚きの眼に見て取ったのであった。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「親は代々獵人なら、鳥娘か轆轤首ろくろくびだが、鬼の重三郎の娘だけに、こいつは島田に結つた赤鬼ですよ」
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
時とすると轆轤首ろくろくび、時とすると一本足の唐傘からかさのおばけが出て路をふさぐので、気の強い者も、それにはふるえあがって、魚は元より魚籃も釣竿もほうり出して逃げて来ると云われていた。
おいてけ堀 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
のぞきカラクリよりも、轆轤首ろくろくびものよりも、高く町中に廣まつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
著者の小品集「怪談」の中にも出て来る「轆轤首ろくろくび」というものはよほど特別に八雲氏の幻想に訴えるものが多かったと見えて、この集中にも、それの素描の三つのヴェリエーションが載せられている。
第二種(怪物編)化け物、舟幽霊、通り悪魔、轆轤首ろくろくび
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それらの事情を知っているものはお此には一種のたたりがあると云い、事情を知らないものはお此が轆轤首ろくろくびであるとか、行燈あんどんの油をなめるとか云い触らすので
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
年増としまいだけるさるの頭をでて、かくたずねしは、猿芝居と小屋を並べし轆轤首ろくろくびの因果娘なり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
轆轤首ろくろくびさ、引窓ひきまどからねてる、見越入道みこしにふだうがくわつとく、姉様あねさまかほ莞爾につこりわらふだ、——切支丹宗門キリシタンしうもんで、魔法まはふ使つかふとふて、おしろなかころされたともへば、行方知ゆくへしれずにつたともふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)