うと)” の例文
彼等の通学せし頃さへ親々は互にらで過ぎたりしに、今は二人の往来おうらいやうやうとくなりけるに及びて、にはかにその母のきたれるは、如何いかなるゆゑにか、と宮も両親ふたおやあやしき事におもへり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
評判はその頃に高く去るもの日々にうとければ、名物一つかげを消して二度目の花は紺屋こうや乙娘おとむすめ、今千束町せんぞくまちに新つた屋の御神燈ほのめかして、小吉こきちと呼ばるる公園の尤物まれもの根生ねおひは同じ此処ここの土成し
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うとし、暮方くれがたではあり、やがてくらくなつてしまつた、と権七ごんしちふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われは知らず、なれが心うとましくなりて
おどりにみやうゆきといふ美形びけい唯今たゞいまのお座敷ざしきにておこめのなりますはと至極しごくあどけなきことまをすとも、もとは此所こゝ卷帶黨まきおびづれにてはながるたの内職ないしよくせしものなり、評判ひやうばん其頃そのころたかるもの日々ひゞうとければ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)